林さんの普段のお仕事について教えてください。
うちの会社は創業して10年になります。現在では色々なビジネスへと発展して様々なビジネスモデルがあるのですが、根幹となる事業は、イタリアンワインを現地からお客様へワンストップでお届けするビジネスモデルです。私の兄がイタリアでソムリエをやっていまして、直接現地の生産者を訪れて仕入れてきたこだわりのワインを体験価値と共に提供しています。
(編集部注:林さんのお兄様である「林 基就」氏は、エスプレッソ誌のレストランガイドブックで「年間最優秀ソムリエ賞」を受賞、イタリアで最も権威のあるワインアワードで「最優秀賞」を受賞するなど、イタリアでNo.1を獲得した日本人ソムリエ)

どのような体験価値を提供されているのですか?
まず、私の性格なんだと思うのですが、ただ良いモノを見つけて売るだけだと、あまり自分がそのサービスに携わる意味がないと感じてしまうんです。何か自分たちが関わっているからこその価値をつけないと我慢できないというか。そこで、5〜6年前から「イタリアンワイン通信講座」というサービスを開始しました。これはワインと共に、そのワインの背景を学ぶことができる冊子を提供するサービスです。現地スタッフが直接生産地に行き、生産現場や生産者の話、さらにはその地のワインの歴史などを取材し、冊子にします。背景を知ることで、何も知らずに飲むよりワインを美味しく感じると思うのです。今でこそ「体験価値」という言葉になって、重要視されてきていますが、当時はそこまで想定していたわけではなく、単純に美味しいワインを飲んで「美味しいね」だけで終わってしまうのはもったいないなと思ったのがきっかけですね。当時から大切にしているのは「ワインを飲んだ後に残る価値」を追求していることです。
体験価値の提供をはじめてからのビジネス展開や今後の展望についてお聞かせください。
「イタリアンワイン通信講座」がご好評をいただいたおかげで、コンテンツをつくって商品に付加価値を付けて提供するというスタイルが見えてきました。今ではイタリアチーズのインポーターの方と組んで「イタリアチーズ通信講座」をやったり、またドイツワインの専門家と「ドイツワイン通信講座」をやったりと、様々な商品でコンテンツを展開していっています。今後は、コンテンツづくりとはまた違ってくるのですが、ユーザーがインポーターを介さずに海外の生産者から商品を直接購入できる仕組み、産地直送のマーケットプレイスをつくりたいと考えています。

ワクスタの会員と、どんな協働ができそうでしょうか?
ワインに関する相談事ならもちろんですが、ECやウェブマーケティングなどのご相談にもお応えできます。また、商品の売り方の部分ですね。体験価値であったり付加価値の付け方のアドバイス、プロデューサー的な立ち位置から商品について意見することも可能です。

プロフィール
林 功二
ワイン、EC、サブスクリプションコマース
株式会社Vino Hayashi 代表取締役 / NPO法人stact 創業者