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テーマエキスパート インタビュー

弁護士といえば一般的にイメージされるのは、ドラマや映画等において法廷で戦っている姿ではないでしょうか。しかし、弁護士と一口に言っても、扱う案件・分野によって、仕事の内容は大きく変わります。今回お話を伺うのは、英語圏と日本を舞台に、企業から個人まで、様々な案件に取り組む国際弁護士の中村さん。その仕事の実態をお聞きしてきました。

中村さんの仕事について教えてください。

渋谷で法律事務所を経営しており、私自身は日本、ニューヨーク州、シンガポール(国際商事裁判所)の弁護士資格をもっています。うちの事務所は海外案件に特化しており、アメリカなど英語のニーズがある案件が多いですね。例えば企業からの依頼だったら、海外進出のコンサルティング、海外企業との書類のチェック、海外企業とのトラブル交渉などがあります。個人の方からの依頼だと、最近では所有する海外不動産の案件が増えていますね。あとは海外に資産を有する日本人や海外在住の方への相続前のアドバイスなどもあります。アメリカの相続って特殊なんですよ。だからニューヨークをはじめ、各州の弁護士と協働で、相続前からのアドバイスなども行っています。

日本企業が海外進出をする上でのポイントはありますか?

日本とアメリカの大きな違いで言いますと、アメリカのビジネスマンは、日常生活や学生時代から交渉の仕方を学んできた方が多いです。そういった背景もあって、アメリカの企業は基本的に交渉事において、折れてくれるということがありません。日本の企業同士でビジネスの話をすると、お互いに妥協点を見つけたり、長期的な視野で折り合いをつけるのが一般的です。しかし、アメリカでは「企業と企業の長期的な付き合い」という概念は希薄で、あくまでもプロジェクト単発でビジネスをする感覚です。また、先ほども述べたように交渉事にはとても強い国なので、私が過去M&Aに関わってきた経験からしても、専門家の判断なしに海外の企業と合意をしたり、契約書を交わすのはオススメできません。

企業案件だと具体的にどんな内容の依頼が多いのですか?

例えばパッと思いつくのは「自社の製品を中国に持っていきたいので、現地のコンサルを紹介してほしい」であったり「海外のエージェントを起用したが、その人物が本当に信頼できる人なのか裏をとってほしい」等ですかね。こういう信頼性の確認だったりコンプライアンス的な相談も多いです。私自身は日本と英語圏がフィールドなのですが、英語圏以外にも世界各国に弁護士の仲間がいますので、例えば中国の案件などでも相談に乗ることが可能です。

ワクスタの会員さんと、どんな形で協働できるでしょうか?

例えばですが「海外企業からビジネスの引き合いが来ている」という内容でしたら相談に乗りやすいですね。その会社が本当に信用できるのか、現地の信用調査会社などでリサーチした上でヒアリングを行います。また、飲食店が海外の飲食イベントに参加する時のサポートをしたこともあります。「海外案件」や「海外進出」と言うと「仕事の規模が大きくなくては相談しづらい」と思われる方もいるかもしれませんが、企業の案件から個人の案件まで引き受けているので、気軽にご相談いただければと思います。海外案件の事例は豊富にありますので、しっかりとサポートすることができます。

プロフィール

中村 優紀

海外進出サポート

中村法律事務所
代表弁護士

TE 中村 優紀さんの一問一答コーナー

子供の頃の夢は何でしたか?
プロバスケットボールの選手です。小学校から高校までずっとバスケをやっていて、小学校の時には全国大会出場チームのキャプテンを務めていました。当時は『月刊バスケットボール』という専門誌に掲載されたこともあります。しかし、ある練習試合で、後に日本人初のNBAプレーヤーとなる「田臥 勇太」選手のプレーを見て、自分はプロにはなれないと道をスッパリ諦めましたね。彼は同じPG(ポイントカード)というポジションだったのですが、プレーの質も違うし、一挙手一投足が芸術品を見るかのようでした。
国際弁護士になろうとした動機を教えてください。
プロバスケットボール選手の夢をキレイに諦めた私ですが、もちろんバスケット自体は大好きでした。私の世代はバスケの神様「マイケル・ジョーダン」が活躍していた時代で、NBAの試合をテレビでよく見ていたんですね。もちろん音声も全部英語。その当時、英語はわかりませんでしたが、NBAに夢中な私にとって英語は「勉強」というよりも「楽しみ」だったんです。そういったところから将来は英語を使って国際的な仕事をする人になりたいと思うようになりました。その想いに加えて、大学の時に「目の前の人を助けられる仕事をしたい」と思うようになり、国際弁護士ならどちらも叶えられると気づいたのが動機ですね。
最近、嬉しかったことは何ですか?
ニューヨークと日本の国際相続案件で、解決するまで2年もかかったのですが、お客さんに涙を流して喜んでもらったことですね。僕も一緒に泣きました。その案件は、アメリカに帰化した親族の方がニューヨークで亡くなられて、相続人が日本在住という構図。しかし、ニューヨークの病院が故人の名前を書き間違えたんですね。ですので日本の法務局は相続を認めない。そこでニューヨークに飛んで、病院の記入ミスを証明しなければならなかったんです。いざ行ってみると当時の経営者も担当者も変わっていたりとアンラッキー続きだったんですが、依頼者とタクシーに乗ってマンハッタン中を駆け巡り、ニューヨーク市役所にも掛け合って、時間をかけて何とか名前の記入ミスを認める一筆をもらうことができました。依頼人にとって相続というのは、お金だけの話ではないんです。故人への気持ちも関わってきます。だからこそ、2年かけて決着した時の感慨はひとしおでした。

中村 優紀さんから
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