ヒッチハイクするように“つながる”働き方で、もっと遠くへ | WORK STYLERのとある1日

「今のままでいいのだろうか」と考えたとき、違う景色を見るためには自ら行動を起こすことが必要です。今回のWORK STYLER・落合将太さんもそうして前に進んできた1人。ヒッチハイクで目的地に向かう車を探すかのように、ビジネスの種を求めて日々新しいつながりを探していく落合さんのある1日をのぞいてみました。

Profile

AGC株式会社
ビルディング・産業ガラスカンパニー
アジア事業本部 日本事業部 通信事業開発グループ 主任

落合将太さん

大学卒業後、AGC株式会社に入社。営業のバックオフィス業務、受発注・物流のシステム立ち上げ業務に携わった後、入社5年目で念願の営業職に。担当業務をこなすかたわら、独自で新規開拓を行う。つい最近、新規事業を立ち上げる進める部署に異動。将来的には広報部でCMなどの映像制作に携わりたいと考えている。

フリースタイルな営業でビジネスの種を探す

耳元からフリースタイルの日本語ラップバトルの掛け合いが聞こえてくる。最近は通勤電車の中でラップを聞くことが多い。

最初に何か言われて、それに対して言葉を投げ返すフリースタイルラップは、新規営業の仕事と似ている。営業の場合、ただ自社商品のPRをするだけでは「その商品いらない」と言われてしまったら終わりだけど、お客様の問いかけや悩みを聞いていくうちに、別の切り口が見えてくることがある。即興のラップバトルと同じで、やりとりを重ねるにつれて少しずつ何かが生まれていくのが新規営業の醍醐味であり、ワクワクするところだ。

今の部署に異動して3カ月。既存の窓ガラスの室内側から貼り付けができる電波送受信が可能なガラスアンテナを取り扱う部署で、まだ立ち上がったばかりの新規事業だ。会社としてもこれまでにない取り組みなので、すべてが未知数。毎日が刺激的だ。

以前はルート営業を担当していたが、歴代の営業マンによりしっかりとした人間関係やビジネスモデルが出来上がっており、自分の色が出しにくく、業務にやや物足りなさを感じていた。今振り返ると、当時は受動的な考え方で「決められたことをやっていればいいだろう」とネガティブな感情を持っていたと思う。しばらくそうした状況が続き、だんだんと「このままではダメだ。何か新しいことをやらないと」と焦りを感じるようになった。

そこで、担当のルート営業をこなすかたわらで始めたのが、異業種への新規の飛び込み営業だった。いろいろな人に会って「困りごとのヒアリング」を行い、どこかに新しいビジネスの種が落ちていないかと探し回った。ルート営業としてのミッション外だったが、そんなのは関係ない。自分がやりたいことを目指してフリースタイルで営業するという、自分なりのやり方がこの頃に出来上がった。

新規営業を勝手に始めたばかりの頃は、周りから「きみがやっていることはボランティアだ」と呆れられていた。でも、少しずつ実績が出てくると認めてくれるようになった。そして、その活動を見てくれている人の目に留まり、今の部署に異動した。

30歳までに「自分がこれを仕掛けた」という実績がほしいと思っていたので、ずっと希望していたゼロからイチを生み出す新規事業に関わるのは念願だった。入社してから今までで一番、自分の中で熱量が高まっていると思う。

面白そうな出会いを求めて、自ら乗り込んでいく

オフィスに着くとコーヒーを1杯飲んで、朝イチで開かれる会議に向かった。今日は製造チームとの会議だ。

今の部署に異動したばかりの頃、新規事業の立ち上げにはこんなにもたくさんの人が関わっているのかと驚いた。研究開発、製造、法務、知的財産管理といったいろいろな組織とやりとりして、連携しながら事業を進めていく。当たり前のことだけど、営業の思いだけで突っ走ることはできないんだなと改めて感じた。今回のプロジェクトを通して、いろいろな部署を巻き込んで新規事業を進めていく方法を学びたい。そして、次に自分が新しい事業を立ち上げるときに活かしていきたいと考えている。そんな野望を胸に秘めながら、会議に臨んだ。

働くからには「新しいことをして、何か形として世の中に出したい」という思いは昔から強かったかもしれない。学生の頃はラジオ番組を作ったり、映画やドキュメンタリーを撮ってコンペに出したりしていた。

大学3年のときには、お金がなくてもできる楽しいことはないかなと考えて、ヒッチハイクで日本一周の旅に出た。目的地の方向に向かう車を探して乗せてくれと交渉し、その様子を自分でカメラを回してドキュメンタリーを撮った。どこまで進めるかは、出会った人次第。ときには予想外の場所に到着することもある。そんな偶然の連続こそがヒッチハイクの楽しみだった。

自分のフリースタイルな営業スタイルの原点は、もしかしたらこの頃にあるのかもしれないとふと思った。

営業も、同じ場所にぼーっと立っているだけでは新しい仕事を生み出すことはできない。何か面白そうなことがありそうな場所に出かけて、次につながるヒントを持っている人を見つけ出すことが必要だ。

とはいえ、やみくもに行動すれば結果につながるというわけでもない。新規営業を始めた数年前は、ちょっとでも気になるネタを仕入れるとすぐに飛びついていた。でも検討していくと、「うちの会社が参加するメリットはないかも?」とあとで気づくこともしばしばあり、まさにアイデアのプロダクトアウトな状態だった。

最近ようやく、自分なりの目的と軸を持ったうえでお客様に提案できるようなった。ヒッチハイクの場合はどこに辿り着くかわからないことが醍醐味だけど、営業の仕事では目的地を明確にしておかないと結果につながらないのだ。

製造チームとの会議が終わり、次は工場での打ち合わせがある。すぐに準備して向かった。

行動を起こすと、見える景色は変わってくる

午後はオフィスに戻らずに近くのワークスタイリングに立ち寄った。就業時間まで作業するためではあるが、それよりも「面白い人に出会いたい」という目的のほうが大きい。

ルート営業の片手間に新規開拓の営業をしていた頃は、ワークスタイリングに頻繁に立ち寄って、ビジネスの種を見つける場として活用していた。ワークショップで知り合った人と何か一緒にできることはないかという話をしたこともあるし、アイデアソン講師をさせていただき、自社商品を見てもらって異業種の視点から新しい活用アイデアをもらったこともある。

ワークスタイリングを「つながる場」として利用するようになって気付いたことの1つが、熱量を持って行動していると、同じくらいの熱量を持っている人と出会えるということ。ときには、ひょんな出会いをきかっけに新しいビジネスが生まれることもある。会社の中に留まっているだけでは、こういうきっかけを作るのはなかなか難しいと思う。

異業種の人と一緒にソリューションを考えていくのは、すごく楽しい。製造業の営業というと商材ありきになりやすいが、お客様の悩みを解決する方法を一緒に考えていくというのが自分なりの理想の営業の姿だ。大企業だと新しいことを始めるのが難しいと思われがちだが、大企業だからこそやれることがあると強く思っている。ワークスタイリングでいろいろな人に知り合う中で、まだまだ自分が営業としてやれることはたくさんあると感じている。新しいビジネスを探す活動は今後も続けていきたい。

今でこそ、面白いことを実現するためには自分から行動しなければいけないと考えるようになったが、昔はとりあえず目の前の仕事をこなしていればそれでいいと感じていた時期もあった。ひと言で言えば、「モチベーションが低く、くさっていた」わけだ。当時は焦りばかりが募って、仕事が楽しくなかった。

昔の自分と同じで現在、やりがいを見いだせず、モチベーションが低い若手はたくさんいると思う。今回、振り返ってみて改めて、人は変わろうと思えばいくらでも変われるんだなと思った。何か楽しいことがしたい、今とは違った景色を見たいと思ったときに、同じ場所に留まるのではなく、自分から一歩踏み出す。たったそれだけいいのだ。

このあとはワークスタイリングのセミナーに参加する予定。今日はどんな人に出会えるか楽しみだ。ビジネスの種はどこに落ちているかわからない。今日も1つひとつのつながりを大切にしていきたい。

Text : Kayo Murakami
Photo : Yuko Nara(numphoto.Inc)