河瀬さんの普段のお仕事について教えてください。
うちの会社「フォトシンス」はクラウド型入退室システムをつくっており、法人向けにクラウドセキュリティサービスを提供しています。コロナ禍の現在だと、オフィスに出社する人員を3割に留めるという企業が出てきたり、コワーキングスペースの需要も高まっているので、ニーズは高まり続けています。元々は個人向けに作っていた製品なんですが、現在は法人のニーズが多いですね。
フォトシンスは、どのようにして誕生したのですか?
元々は事業にする考えもなく、個人的にスマートロックを開発しただけでした。それがひょんなことから日経新聞に取り上げられ、あっという間に様々な企業から100件以上の問い合わせが殺到しました。この状況に応えるような形で起業しましたね。起業するまでには色々と苦労したところもあるのですが、自分自身でそこに懸ける熱が下がらなかったからこそ、起業まで行けたのだと思っています。ただ、熱を保ち続けるのって非常に難しいんです。私の場合は仲間の存在が大きくて、仲間がいたからこそ熱を保ち続けられたと感じています。
河瀬さんはご自身をどのようなタイプだと思いますか?
私自身は着火剤のような人間だと思っています。割と色々なことに対して瞬間風速的に熱中できるタイプです。反対に副社長は備長炭みたいなタイプで、火がつくまでは時間がかかるんですが、着火してしまえば一定して高い熱意を保ち続けられる人なんですよ。だから社内のバランスとしてはちょうどいい。事業に対してずっと高い熱意を持って取り組んでこれたのはこういった仲間たちとのケミストリーが大きいですね。
元々「カギ」は好きだったのですか?
特別に好きだったということはありませんでした。起業前は自分の好きなことや興味のあることを色々とやっていて、カギもちょっと興味がある分野の1つでした。ところが、先ほどお話ししたように、個人的に開発したスマートロックがネットでバズったことで、世の中や社会の課題が次々と見えてきて、どんどんカギに熱中していきました。今ではカギへの思い入れが強くて、その世界でNo.1になりたいです。このように自分の興味を深堀りしてみると、どこかに自分が熱意を傾けられるものは見つかると思うんです。だから「夢がない」というのが悩みの方は、自分の興味をもっと深堀りしていけば、きっと何かに出逢えると信じています。
IoT業界の方として、ワクスタと協働できることは?
DX※の部分ですね。特に歴史の古い業界こそ、リアルから変えなければいけないと思っています。そういう業界はIoTと自分たちの仕事が結びつきにくいと考えている方が多いようです。しかし、IoTはあくまで手段なので、どんな業界でも役に立つ部分があると考えています。また、一口にIoTと言っても、新規事業をやりたいのか、既存事業をDX化したいのかによって、やることは変わってきますね。どんな業界でも課題を深掘りしていけば、AIやIoTが役に立てるポイントがあると信じています。
※DX(デジタルトランスフォーメーション)=デジタル化によりビジネスや人々の生活をより豊かにすること
プロフィール
河瀬 航大
新規事業開発、組織作り、IoT、SaaS、オープンイノベーション
株式会社フォトシンス
代表取締役社長