島村さんの普段のお仕事について教えてください。
「一般社団法人WELLE ME」では、医療関連サービスの資格を有する女性メンバーを国内外合わせて20名ほど抱えており、彼女たちの知見を活かしたヘルスケアサービスの企画・運営などを行っています。私個人の仕事としては、複数の企業、自治体、大学、医師会、医療従事者などと一緒に事業創出に向けたサポートをしています。どちらの仕事も様々な組織が関わってきますので、人と人の目線を合わせて議論できるようにして、そこからお互いの強みを活かした、健康・医療・福祉サービスを創り出しています。
「一般社団法人WELLE ME」はどういう想いでつくられたのですか?
「女性の自立」というテーマが私の中にありまして、そのテーマと、私の得意分野である「ヘルスケア領域の事業立ち上げ」を組み合わせて立ち上げたのが「WELLE ME」です。世間ではよく、会社で役員になったり、起業したりする女性を、自立した女性と呼ぶことが多いと思うのですが、社会が求めるように働き、活躍することが女性の自立なのでしょうか。
女性はライフイベントによる心身の変化も多いため、内面が満たされて健やかな状態、つまり、心身ともに健康で理想的な生活を実現する「ウェルネス」こそが、女性の自立を支えると私は考えています。女性の健康・キャリア形成をサポートしながら、女性の自立を目指すのが「WELLE ME」です。そして、人を想う気持ちを循環させること、これが私のミッションだと思っています。
現在、ヘルスケアの業界や領域では、どんなトレンドがあるのでしょうか?
4〜5年くらい前は、ヘルスケア事業に参入したいという企業が多かったですね。一口にヘルスケアと言っても、単純に身体の健康もそうですし、心の健康もヘルスケアですし、障害者の方への福祉もあるし、ものすごく領域が広いため、ユーザーによって提供するサービスが全く違ってくるんですよね。「どういう風にヘルスケアを捉えたらいいのか教えてほしい」という相談をよくされました。オリンピックの東京開催が決まってからは、スポーツに関する相談が増えました。スポーツと健康というテーマがほとんどでしたね。あとは睡眠もトレンドでした。そして最近はやはりコロナ関連です。皆さんもご存知の通り、医療現場は余儀なく変わらざるをえない状況になっています。企業サイドでは、在宅ワークが増えたので、それに関する健康やマインドフルネスが求められていますね。
ヘルスケアにおいて企業サイドに期待することは何でしょうか?
医療従事者の方々は、患者さんのためには賃金・給料関係なく働き、結果として疲弊してしまうことが多いです。医療の世界が上手く回るためには、奉仕精神ももちろんですが、収入・金銭面の充実も必要です。しかし、どうやって金銭面を充実させれば良いのかも分からないし、それを目的としてはいけないイメージもある。こうした部分については、ぜひ企業の力を借りたいと本質的には思っています。ただ、企業サイドも、どうヘルスケアに参入していいか分からない。
例え対話を試みたとしても、価値観が違うので様々な角度で噛み合わず、お互いに関わり方が分からないまま何も始まらない、ということが現在多く起きている課題だと思います。そこで、やはりこの間に入る存在が必要だと思っていて、私のような企業と医療分野の両方の立場を理解しているコーディネーターたちを上手く活用しながら、どんどん医療分野に関わりを持って行って頂きたいと思います。医療分野は皆さんが来てくださるのを待っているのです。
プロフィール
島村 実希
ヘルスケア領域全般
株式会社Lino
代表取締役