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テーマエキスパート インタビュー

今月のテーマ「教育」

世界中が大きく激しく変化を続ける現代。これまでとは社会で求められる人材像も変わってきました。企業においても人材教育が注目を集めています。今回は中学校や高校に向けた教育ビジネスを実践する長井さんにお話を伺いました。

長井さんの普段のお仕事について教えてください。

教育ベンチャー企業の「タクトピア」で代表取締役をしています。会社の大きなミッションは「グローカル・リーダーシップの育成」。グローバルとローカルのどちらの視点も持ち合わせるリーダーを育てるという意味です。主な顧客は中学校や高校でして、学校内の教育改革の一環として新しい学びのあり方を提案し、生徒さんに研修プログラムを提供するというビジネスになっています。研修の形態は様々ありまして、海外に渡航する研修もありますし、国内でみんなで集まってキャンプみたいなかたちで行う集合型の研修もありますし、コロナ禍ということもありオンラインの研修もあります。研修内容は主に2つありまして、実践的な英語の学習、そしてアントレプレナー教育をやっています。顧客は私立学校だけだと思われがちですが、公立の学校でもこういった研修を行っています。

日本の学校が外部の企業に教育の一部を依頼したりするようになったのは、いつ頃からでしょうか?

弊社の歴史から見ると、2015年くらいからですね。この頃「スーパーグローバルハイスクール(SGH)」や「トビタテ!留学JAPAN」など、国の教育系の予算が活発に動き出したことが関係しています。少子化などで、国もいよいよ抜本的に教育を見直さないといけないと火がついて、それが実際に動き出したのがこの時期なんだと思いますね。学校側も子どもが減っていく中で、生き残りをかけて、今の世の中に合った教育を取り入れていこうとしています。それの始まりが2015年あたりからですね。そこから5年が経った現在では、ユニークな強みをもつ外部のプレーヤーと連携して研修プログラムを組み立てるというスタイルが、より一般的になってきたと感じます。2018年度には文部科学省から学校に「探究学習」の告示がありました。「探究学習」は教育業界のキーワードでして、簡単に説明すると「正解のない問いを考え、解決のために行動する学習」です。研究系だとかディベートとかジャンルは色々と分かれているんですが、タクトピアはその中でもアントレプレナーシップのコンテンツを得意としています。 

関わっている学生さんたちはプログラムを経て、どのように変わりますか?

ちょっと話が遠回りになるんですが、私はふだん色々な企業の方の相談を受けることが多くあります。そこで感じたのは、この日本においては自分の意志を持つことが一番難しいということです。なぜなら、これまでの日本では「自分の意志をもつ」ことを教育されていないから。本題に戻ると、私たちが関わる中高生も同じで、例えば「テーマを自分たちで決めていいよ」と急に自由な判断を求めても、どうしていいのかわからないという状況になります。私たちは「こういう方法を使えばテーマを探せるよ」とは教えますが「○○のテーマに取り組んでください」といったことは一切言いません。みんな最初は大いに戸惑っているのですが、プログラムの終了段階に近づいてくると、きちんと自分たちの意志が備わってきているのを感じます。自分たちの意志で取り組むテーマを決めて、情熱を注ぎながら問題解決に向かって試行錯誤して成果を出していくというのは、一度知ってしまうと止められない歓びがあると思います。

例えば20年前の学生さんと、今の学生さんにはどんな違いがありますか?

今の学生さんは、明らかに世の中に対する見方が現実的ですね。「失われた30年」と呼ばれる時代を粛々と生きてきているので、人生は大変だと感じていると思います。あと、昔とは情報量が違うので、頭でっかちな面もあると思います。昔の学生はまだ世の中に希望があったのか、人生は何とかなるような楽天的な空気もまだありましたね。どちらも一長一短あると思いますが、中高生がもつ、根本的な素直さなどの魅力は今も昔も差はないと思います。今の時代をポジティブに捉えてチャレンジしていってほしいですね。

ワクスタの会員とどのような協働ができると思いますか?

例えば、新規事業をしていきたい時の人材育成などは力になれると思います。予算があるけど、何をしていいかわからないという大企業さんのお話もよく聞くのですが、例えばアメリカならそれをどうにかする人材の層がめちゃくちゃ厚いんですよ。一方、日本はかなり層が薄い。なぜならアントレプレナーシップの教育が抜けているからです。その社会的な「もったいない隙間」を埋めていくという意味で、私たちは新規事業のエキスパートのような人材を育成するということも可能ですし、全社的な人材の裾野を広げておく意味で、教養としてのアントレプレナーシップを身につけておくというところでお手伝いしたいなと思います。あとは地域や自治体のインフラづくりのような大きな視点で学びの環境づくりとか、教育現場へのテクノロジーの導入支援などでもお力になれると思います。

プロフィール

長井 悠

グローバル教育、地方創生×教育、アントレプレナーシップ教育

タクトピア株式会社 共同創業者・代表取締役

TE 長井 悠さんの一問一答コーナー

好きな食べ物は何ですか?
(間髪入れず)ジャガイモです。これ、アメリカで言ったらウケたんです(笑)。ちょっと崩れかけぐらいになったぐらい火が通ったものが好きですね。だからメイクイーンより男爵が好きです。料理自体もコロナでするようになりまして、最近は娘に一番高い評価をもらったのがピーマンの肉詰めです。ピーマン側を焼かずに蒸し焼き状態で火を入れるレシピがあって、これが本当に美味しかったですね。
最近、嬉しかったことは何ですか?
娘が大きくなってきて、だんだん抽象的な議論ができるようになってきたのが嬉しかったですね。この前は「自然と人工」という定義の瀬戸際はどこなのかという話をしました。例えば「シロアリがつくる蟻塚と人間がつくるビルは違うのか」みたいな話ですね。いじわるな質問をちょっとすると娘が混乱してしまうんですが、けっこうこういう話ができるのは面白いですね。
最近、初めてやったことは何ですか?
娘のもっているブレイブボードに挑戦してみました。最初めちゃめちゃ怖くて、一人で乗れるようになるまでけっこう時間がかかりました。コロナで運動不足になっているので、運動にいいと思います。
何日でも休んでいい休暇があったら何をしますか?
まだ行きたくても行けていない場所に行きたいですね。色々あるのですが特に「ギアナ高地」と「パプアニューギニア」。秘境と呼ばれるこの2つの場所に行きたいです。ギアナ高地はエンゼルフォールという落差1000mくらいの滝があって、その上にまっ平らなテーブルマウンテンという場所があるんですが、そこにヘリで一瞬で行くか、3日くらいかけて歩いていくのかは悩みますね。できれば歩いて行ってみたいですけど。

長井 悠さんから
会員の皆さんへのメッセージ

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