導入事例

宇宙開発の最前線を支えるオフィス
――Axiom Space若田光一さんがワークスタイリングを選んだ理由

  • 500-999名
  • その他
  • 専有スペースプラン(FLEX)
  • 支社・支店
  • 企業間交流
  • オープンスペース利用

若田光一様

Axiom Space

企業名

業種

米国の民間宇宙ステーション建設、宇宙飛行サービス、宇宙服開発

従業員数

約750名

設立年

2016年

導入サービスと利用期間

「専有スペースプラン(FLEX) 」 2024年8月〜

取材対象者

宇宙飛行士 チーフ・テクノロジー・オフィサー 若田光一様

企業紹介

Axiom Space株式会社は、アメリカ・ヒューストンに本社を置く宇宙開発企業です。ワシントンD.C.に少人数のチームがあり、世界中の各地域にもメンバーがいます。国際宇宙ステーション(ISS)の後継となる世界初の商業用宇宙ステーションを建設するほか、宇宙服の開発や宇宙空間を利用したビジネスの創出にも力を入れています。

2024年春には、これまでに5回の宇宙飛行を経験した宇宙飛行士・若田光一様を最高技術責任者(CTO)に迎え、日本国内でも企業や政府、研究機関との連携を深めています。若田様の幅広い活動を支えているのは、ワークスタイリング 日本橋三井タワー。日本における宇宙産業の「シリコンバレー」とも呼ばれる日本橋に拠点を構えることで、さまざまなコラボレーションが生まれているといいます。

ワークスタイリング導入の決め手や具体的な活用シーン、そしてこれからの宇宙開発について、若田様にお話を伺いました。

■事業内容

世界初の商業用宇宙ステーションを建設

――まずは御社の事業内容について教えてください。

当社の事業は大きく四つの柱で構成されています。

第一の柱は、国際宇宙ステーション(ISS)の後継となる、世界初の商業用民間宇宙ステーションの開発です。老朽化が進むISSは2030年に運用を終了する予定で、NASA(アメリカ航空宇宙局)が後継として複数の商業用ステーションを選定することになっています。当社の宇宙ステーションは、その有力候補の一つです。

二つ目は、宇宙服の開発です。NASAとの契約の下、「アルテミス計画」の月着陸ミッション「アルテミス3」で使用する新型の船外活動用宇宙服をつくっています。アルテミス計画はアメリカを中心に進められている月探査プロジェクトで、日本も参加しています。当社の宇宙服は後続のミッションにも使用される見込みで、将来的に日本人宇宙飛行士が月面に降り立つ際にも、当社の宇宙服を着用する可能性が高いと考えています。

三つ目が、有人宇宙飛行ミッションの実施。今後、当社が宇宙ステーションやモジュール(実験室)を打ち上げた際には、ステーションの運営や実験を担う宇宙飛行士が不可欠です。宇宙飛行士の訓練に加え、地球から実験を支えるスタッフや実験道具・手順、各国機関とのパートナーシップなど、運用体制の整備を進めています。その一環として、2022年から2025年7月にかけて、計4回の有人宇宙飛行ミッションを実施。宇宙飛行士を2週間から1ヵ月程度、ISSへ送りました。

そして四つ目が、地球低軌道上にデータセンターを構築する宇宙インフラ事業です。


■検討・意思決定プロセス

「たった一人」で挑んだ日本拠点立ち上げ

――若田様は、どのような業務を担当されているのでしょうか?

私は2024年、長年勤めた宇宙航空研究開発機構(JAXA)を退職し、Axiom Spaceに加わりました。現在はCTO(チーフ・テクノロジー・オフィサー)として、全社的に開発業務の技術面をマネジメントしています。宇宙ステーションの新しいシステムの使い勝手を試して開発チームにフィードバックするなど、宇宙飛行士としての経験を活かした開発支援をしています。また、宇宙飛行のミッションに備えて準備をするほか、主にアメリカで行われている宇宙飛行士たちの訓練もサポートしています。

日本国内のさまざまな企業と技術的な連携を深めることも、重要な役割の一つです。現在、パートナー企業が当社の宇宙ステーションに接続するモジュールを開発しています。特に私たちが注目しているのは、無重力環境を活かした“ものづくり”。当社の宇宙ステーションを、半導体製造や創薬、人工臓器の開発などで利用してもらうため、半導体やライフサイエンス関連の企業とのつながりを広げています。

また、企業として資金調達も必要ですので、主にアジア・太平洋地域の投資家との調整も担っています。

――若田様が自らオフィス探しを進められたそうですね。

はい。日本で正社員として稼働するのは私一人で、オフィス選びについてはヒューストンの本社から一任されていました。

民間企業で働くのも、オフィスを探すのも初めての経験です。まずはインターネットで情報を集め、実際に6~7社のレンタルオフィスを比較・検討しました。最終的に、ワークスタイリング 日本橋三井タワーに決め、専有スペースプラン(FLEX)を契約しました。

決め手は日本橋=「宇宙のシリコンバレー」という立地

――ワークスタイリングを選ばれた決め手は何だったのでしょうか?

一番の決め手は、日本橋という立地です。日本橋には三井不動産や宇宙関連の有志による宇宙ビジネス共創プラットフォーム一般社団法人「クロスユー」や、宇宙産業共創拠点「X-NIHONBASHI」があり、宇宙ビジネスに関わる企業や研究機関が集積しています。まさに、日本における「宇宙のシリコンバレー」が形成されているんですね。

当社はアメリカ発のスタートアップです。日本に新規参入し、宇宙関連の企業や政府、研究機関との産官学のパートナーシップを築いていくうえで、ネットワークをつくりやすい環境は不可欠です。オンラインでできることは増えましたが、やはり対面のやりとりの重要性は変わりません。

その点、ワークスタイリング 日本橋三井タワーは、宇宙に携わる複数の企業が同じビルに入居しており、日本橋周辺ではシンポジウムや勉強会も頻繁に開催されています。宇宙だけでなく半導体やライフサイエンスなどの関連企業にも歩いて2~3分でアクセスできる。この距離感は、何よりの強みだと感じています。


海外企業との英文連携にも対応。電子決済や導入のスムーズさも決め手に

――契約など実務面で決め手になったことはありますか?

海外企業として日本に拠点を構えるうえで、契約手続きのスムーズさは非常に重要でした。当社は日本法人を設けておらず、契約はすべてアメリカの本社が結びます。そのため、アメリカ本社でもチェックできるように契約書を英訳する必要がありましたが、すぐに英訳案を作成していただきました。また、電子決済も必要でしたが、柔軟に対応していただき、やり取りが非常にスムーズでした。海外企業の手続きにも慣れている、という安心感がありましたね。

――検討から契約までの期間は、どのくらいでしたか?

2ヵ月ほどです。その間は海外出張も多く、時間の制約がある中で検討しました。契約手続きの際も、ワークスタイリングの営業担当者や現場スタッフのみなさんに大変助けていただきました。

――ワークスタイリングを見学されたときの印象は、いかがでしたか?

実際に見学した際、ワークスタイリングの担当者の方々が非常に丁寧に対応してくださったことが印象的でした。フロアマップを使った説明から実際の案内まで、全体像をすぐに把握できるよう効率的に説明していただきました。オフィス探しに割ける時間が限られるなか、書類のスキャンや契約手続きの方法も短時間で理解でき、初めての利用者にもわかりやすい説明で、第一印象から「ここにしよう」と思いました。

■導入の成果・活用シーン

日本橋だからできる 対面のやりとり

――実際、どのような形でワークスタイリングを活用されていますか?

2ヵ月に1度はアメリカへ出張するほか、アジア太平洋地域への出張も多いので波はありますが、日本にいるときは平均で週3~4日利用していると思います。

普段はオープンスペースで仕事をすることが多いですね。来日した海外のお客さまが東京に来られた際にはワークスタイリングにお招きし、オープンスペースで話すことがよくあります。機密性の高い話をするときは、専用のレンタルオフィスを使っています。

――会議室もご利用されますか?

はい。ワークスタイリングの会員であるパートナー企業も多いので、打ち合わせの際は先方が会議室を予約してくださるケースが多いです。

私はどうしても海外出張が多い分、日本にいるときは関係企業やJAXA、政府のみなさんと対面でやりとりすることを大切にしています。日本橋には、宇宙関連の「クロスユー(cross U)」、ライフサイエンス関連の「LINK-J」、半導体関連の「RISE-A」という三井不動産が中心となって立ち上げた3つの共創プラットフォームがあります。関わりの深い企業や研究機関などが集まっているため、すぐに打ち合わせができるのは非常に便利です。


――通勤面の利便性はいかがでしょうか?

茨城県つくば市から通っているのですが、日本橋三井タワーは地下鉄直結で、東京駅から、つくばへの直通のバスも出ています。通勤にも非常に便利な立地です。

24時間入退室や海外仕様の柔軟な対応が可能

――海外とのWEB会議は多いのでしょうか?

日本にいるときも、アメリカとのWEB会議が頻繁にあります。時差が大きいため、夜遅くや早朝に開かれることもしばしばですが、ワークスタイリングのレンタルオフィスは24時間入退室が可能なので、非常に助かっています。

――普段利用されていて、便利に感じていることがあれば、ぜひお聞かせください。

ワークスタイリングの現場スタッフの方が、非常に丁寧にサポートしてくれます。例えば、当社は経理上、オフィス使用料をアメリカ本社に毎月報告する必要があるのですが、当社のルールやニーズに応じた形で請求書を作成してくれます。私はそれを本社に送るだけなので、本当に助かっています。入居する企業の要望にフレキシブルに対応してくださっているイメージがとても強いですね。

また、火災訓練や避難訓練も定期的にしっかり実施されており、安全面を重視してオペレーションしていると感じます。

■今後の展望

ポストISSへ、転換期を迎えた宇宙開発

――今後の展望についても、ぜひお聞かせください。

2030年にISSの運用が終了し、その後継となる商業用宇宙ステーションの開発が進んでいます。今はまさに、宇宙開発における過渡期です。

私自身、これまでに5回の宇宙飛行を経験し、そのうち4回はISSに滞在しました。日本がこれまで安定して宇宙飛行士を派遣できたのは、アメリカやヨーロッパ、カナダ、ロシアとともにISSのパートナー国として参画してきたからです。

しかし、ISSが退役した後は、その枠組みはなくなります。だからこそ、当社が開発する宇宙ステーションが、日本人宇宙飛行士の新たなデスティネーション(目的地)になる可能性が高いですし、そのための準備を進めています。日本の宇宙飛行士が今後も継続的に宇宙へ行けるよう、JAXAや企業、研究機関のみなさんと、さまざまなパートナーシップの構築を進めています。

また、民間が主導することによって、これまで宇宙にアクセスできなかった国々との関係も広がっています。実際、当社がこれまでに4回実施した有人宇宙飛行ミッションでは、サウジアラビアやトルコなど、ISSの非パートナー国の宇宙飛行士を宇宙へ送りました。

さらに、東南アジアの国々を訪れると、日本への期待を強く感じます。アジアで唯一のISS参加国であり、これだけ安定してロケットを打ち上げる能力を持っている国は多くありません。ですから、アジアは今後、民間による地球低軌道の利用を進める上でとても重要なマーケットになります。

日本はアジアのリーダーとしてさまざまな国々の宇宙活動を支える役割を期待されています。そうした観点で見ると、日本橋は日本だけでなく、アジア全体にとっても重要な宇宙産業の拠点なんですね。


日本橋を拠点に、宇宙の仲間を増やしていく

――大げさに言えば、これほど壮大な宇宙開発の一端に、ワークスタイリングも関わらせていただいているのでしょうか?

その通りです。ISSはパートナー国の政府が主導して進めるプロジェクトでした。しかし、これからの時代は、民間がリーダーシップを取っていくことが欠かせません。

そして、民間宇宙ステーションを持続的に運用していくためには、しっかりと利益を上げ、経済的に自立した仕組みをつくる必要があります。そのためにも、より多くの企業や研究機関に参加してもらい、無重力環境を活かした実験や開発を進めてもらうことが重要です。

また、民間主導の宇宙開発は、非宇宙分野の企業とのコラボレーションを生み出し、技術的なブレイクスルーが生まれています。例えば、当社が開発する宇宙服は、イタリアの高級ファッションブランドが手がけた高機能素材を使っています。宇宙服のヘルメットに使用するバイザーは、スポーツアイウェアで知られるメーカーが開発しました。

このように、幅広い企業を巻き込むことができれば、宇宙における経済活動をさらに活発にできるはずです。宇宙の敷居を下げて仲間を増やし、産学官の連携をさらに広げていく。その中心地である日本橋にオフィスを構えることには、大きな意味があると考えています。

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