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ハイパフォーマーインタビューVol.3

ハイパフォーマーインタビューVol.3

プロノイア・グループ株式会社 CCO兼コンサルタント
テーマエキスパート
世羅 侑未 氏

今回は、プロノイア・グループ株式会社のCCOであり、自らもコンサルタントとして事業や組織の変革に携わる世羅さん。「企業変革パートナー」として多種多様なタスクに取り組む世羅さんに、ハイパフォーマンスを発揮するために大切にしていることについて伺ってきました。

「ハイパフォーマ14カ条」※1の中で、特に大切にしている項目を教えて下さい。

其の4「感覚を研ぎ澄まして、世の中を見渡す」と
其の9「美しさという感性に従って、選択し、生きる」

両者が二つ繋がっているように思えており、大事にしています。
これを選んだ理由は、自分のこれまでのパフォーマンスを振り返った時に、いちばんアウトプットに影響してきているのが感性であると感じたからです。いま向かっているアウトプットの方向性を、本当に美しいと思える感覚が有るかどうかでパフォーマンスが変わってきます。私は「人と組織の未来を描き、変革する」という正解のない仕事をやっており、正解がある課題解決の仕事ではないからこそ、そこに関わるパートナーと共に本当に信じるものに向かっていけている感覚というものが不可欠です。そして、この感覚を得るまでには、まずは多様な分野から広く情報を集めて、ロジックを積み立てるという左脳的な思考が必要です。左脳でロジカルな思考を積み上げて積み上げて、もうこれ以上考えきれないというところでようやく右脳が司る感性にバトンタッチする、というイメージですね。

其の2「自分の羅針盤を持つ」と
其の12「内省する時間をつくり、心の状態を健康に保つ」

この2つも、やはり切り離せず、連動して大事にしていることです。
其の2を常に大切にする手段として、私が実施しているのがカレンダーを見るという行為です。「この一週間、何のために過ごすんだろう」「誰にどんな価値を生みたいのか」と、カレンダーを見ながら考えることが羅針盤を確認する行為になっています。この習慣がはじまったのは、自分がいつも何かをやり終えてから起きた出来事を振り返り、後から悲観することが多かったから。「もっとこういう気持ちでやれば、より良い資料になったのに」「もっとこういうことが言えたのに」と無限に後悔する癖があります。なぜそれを事前に気づくことができないのかを考えると、おそらく原因は「何かをやり終えた直後の方が頭が冴えている」ところにあるのかなと思いまして。それだったら頭が冴える状態を事前に作り出そうと思いました。そこから、隙間時間を見つけるごとにカレンダーを見ながら、事前に打合せの流れ、作業の流れを細部までイメージできるようにシミュレーションすることが欠かせなくなりました。それが「行動の前に内省する」ことにつながっており、常に具体的な羅針盤を自分に示してくれています。

ハイパフォーマーインタビューVol.3

コロナ禍による仕事や価値観の変化などがあれば教えて下さい。

すごく単純なことなんですが「ただ外に出る」という行為が自分にとってどれだけ必要なことだったのかというのに気付かされました。元々コロナ前から家の中で仕事をする環境は整えていたので、あまり影響はないと考えていたんですが、実際に文字通り家にこもりっぱなしになるとなんだか調子がパッとしない。外に出るという行為が、いかに無意識のうちに新たな情報や感性の刺激をキャッチしており、自分の思考を働かせるのに大きな影響を与えてくれていたかということがわかりました。気がついたのは、家にいるとどうしても入ってくる情報がその時考えているテーマや事柄の範囲内に止まってしまうんですよね。偶然の情報、思考の外にある新たな情報がない。だから今は、特別な理由がなくてもなるべく外に出るようにしていますね。ただ街を歩く、電車に乗る。PCの画面上では出会わない外の景色や空気、年齢や境遇の違う人たちの生活とすれ違う。それだけでも、刺激になり、感性が開き、全く新たな偶然の思考が始まります。ですので、ワクスタをこれまで以上に利用するようになりました。拠点ごとに違う空間があるので「今日はどこどこのワクスタで仕事しよう」と選び、気分転換だけでなく新たな思考を開くためにも本当に便利です。

組織の変革に携わられていますが、コロナ禍によって組織単位で変化を感じることはありますか?

コロナ禍によって、個人の時間が増えた反面、つながりの面では不自由が増えたところも多いですね。みんながオフィスに集まって仕事をしていた時には「○○さん、今日は気合が入ってるな」「△△さん、今日は落ち込んでいるな」と互いの状態を慮り合うことができました。テレワークの状況だとこうした互いの安心感をつくることが難しくなってきました。雑談を意識的にするなど、今は色んな組織がつながりを強化するための工夫をしているところも多くありますが、注目したいのは、それでも大きな流れとしては集団という括りの強さよりも個人という単位の自律が強くなっていっていることです。これまでのマネジメントのパラダイムだと「いかに個人を組織や集団に帰属させるか」が重要でしたが、これからは個人の意思を会社の考えと対等とした上でマネジメントを行わずには関係性が成り立たなくなると思っています。会社の一員だから、そのポジションだから、ではなく「”わたし”にとってこの仕事をやる意味」が見えない以上、強制力を用いてそれを強いることはできなくなってきます。これからは、会社も社員一人一人の仕事の意味形成にしっかりと寄り添う。個人の立場からすると、自分が一番自律できると感じる場所、自分に誇りを持たせてくれるような環境こそ、手放したくない大切なコミュニティになってくると思います。

ハイパフォーマーインタビューVol.3

【プロフィール】
世羅 侑未
プロノイア·グループ株式会社 CCO兼コンサルタント
慶應大学システムデザイン·マネジメント研究科 研究員
企業の未来創造に向け、組織戦略・新規事業・アライアンス・企業文化の構築・変革に携わるコンサルティングに従事。慶應大学院 SDM研究科 研究員として個人の創造力、直観力やパフォーマンスが最大化される「フロー状態」の研究を進める。著書に『3倍のパフォーマンスを実現するフロー状態 魔法の集中術』。共著に『The SAGE Handbook of Action Research』、和訳協力に『行動探求』がある。

※1:「働く場」ではなく「新しい働きかた」を提案するワークスタイリングとして、コロナでさらに変革を求められるビジネスパーソンの「ハイパフォーマンスを実現する働きかた」をサポートする意図で、昨年ワクスタ会員2300人へのアンケートと12名の社会的にハイパフォーマー※2と言われる方への独自インタビューから作成したハイパフォーマー指針。

※2:ハイパフォーマーとは、「決められた時間内で数字的な効率を追う」ということだけでなく、環境変化にも軽やかに適応しながら自分のリズムを整え、社会的・組織的に価値の高いアウトプットを生み出し続けることができることと広く定義。

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