オフィスセキュリティは、顧客や従業員の個人情報や、機密情報の漏洩などを防ぐために必要不可欠です。本記事では、企業におけるオフィスセキュリティの重要性や具体的な対策方法について解説します。各セキュリティツールやシステムの導入費用の目安についても紹介しているので、自社に合ったものを比較してみてください。
オフィスセキュリティは、情報データやパソコン、現金など企業の大切な資産を守るために必要不可欠なものです。とくに情報漏洩は法律で罰せられるケースもあるため、オフィスセキュリティの重要性について理解しておきましょう。
オフィスでは顧客情報や社員の個人情報など重要なデータを保有しているため、オフィスセキュリティを強化することで情報漏洩を防ぐことにつながります。
重要なデータが漏洩した場合、取引先や社員の信頼、信用を失い、経営にも大きな損失をもたらす恐れがあるでしょう。
令和2年改正個人情報保護法では、本人請求権の拡大、事業者の責務の追加、ペナルティの強化などが追加(※)され、さらに徹底したセキュリティ対策が重要となっています。
企業のオフィスセキュリティを強化することで、パソコン、複合機、現金、小切手など、金銭的価値を持つ物品を盗難から守れるのも特徴です。
また、不審者が盗難を目的に侵入した場合でも、建物や窓などを破損されたり、従業員に怪我をさせたりするリスクもあるでしょう。人・物・情報など企業の資産を守るためにも、オフィスセキュリティの強化が大切です。
企業のオフィスセキュリティが不十分な場合、不審者がオフィス内に侵入したり、従業員の個人情報が盗みだされたりするリスクがあります。大切な社員を危険な目に合わせないためにも、不審者や外部の人を侵入させないセキュリティ対策が必要不可欠です。
オフィスのセキュリティ対策を行ううえで、企業に起こりうる下記の3つのリスクについて理解しておきましょう。
人的リスクとは、従業員や役員といったオフィス内にいる人の身体的リスクのことです。
不審者の侵入や迷惑行為などは、オフィスにいる従業員を危険な目に合わせてしまいます。
人的リスクには、出入り口のセキュリティを強化するほか、監視カメラや非常通報システムを導入などの対策を行い、オフィス内にいる人に危険が及ぶ前に未然に防げるセキュリティ対策が必要です。
情報リスクとは、データ流失や情報漏洩に関わるリスクのことです。情報漏洩は、サイバー犯罪といったシステム攻撃によるものもありますが、従業員の誤操作やセキュリティ管理の甘さから簡単に情報が洩れてしまうこともあります。
例えば、オープンスペースで会議をした際にのぞき見されていたり、盗聴されていたりすることで、情報が外部に漏れてしまうケースです。情報が外部に漏れないようなオフィス環境を作ることが大切です。
物的リスクは、オフィス内に現金や小切手、家具、備品、従業員の貴重品などのものに関わるリスクのことです。盗難や破損などの被害を未然に防ぐためにも、オフィスの管理環境の整備が必要です。
また、物的リスクは人為的な被害だけでなく、火災や自然災害などによって起きる場合もあります。これらの物的リスクについても十分に考慮し、適切な対策を行いましょう。
ここからは、オフィスのセキュリティ対策の具体的な方法について解説します。
まずは、自社のセキュリティ対象の資産の把握をしましょう。現金、小切手、備品などの対象の物を把握するのはもちろん、誰が管理しているのか、どのような媒体なのか、どこに保管されているのかなどの細かな点の洗い出しも行います。
情報資産は可視化しにくいため、社内で情報を集めて漏れなく確認することが大切です。企業の情報資産は、以下のようなものがあります。
・顧客情報
・従業員の個人情報
・財務情報
・人事情報
・製品開発情報
・仕入れ先や販売先の情報
・社内で利用するシステムのIDやパスワード情報
・企業のPCやスマートフォン内のデータ
・USBデータ
・クラウドサービスやサーバーのデータ
・紙媒体で保管している資料
セキュリティ対象の資産を把握し、管理状況やリスク面から課題を把握します。例えば、顧客情報や重要な取引内容に社員全員がアクセスできる場合、誤送信によって誤って外部に漏洩してしまうリスクがあります。
このように資産の課題を1つ1つ洗い出し、適切に対応策を検討しましょう。
次は、導入するセキュリティシステムやツールの選定です。セキュリティ対象に合わせたツールやシステムを選定し、管理する人やアクセスできる人も決めておきましょう。
対象の場所やデータにアクセスできるメンバーを決め、一人ひとりに権限を与えることで、漏洩リスクを軽減できます。
オフィスのセキュリティを強化するには、セキュリティレベルに合わせたゾーニングが重要です。ゾーニングとは、空間や機能や用途で区分けすることをいいます。
オフィスのゾーニングを行うことで、業務効率が円滑になるだけでなく、必要のない区画にほかの社員が入る必要がなくなります。例えば、以下のようにオフィスの場所のレベル分けを行いましょう。
セキュリティレベル1:一定の監視の元で出入りできる場所(エントランス、ロビーなど)
セキュリティレベル2:許可された人が一定の範囲で利用できる場所(応接室、会議室など)
セキュリティレベル3:社員や許可を得た人のみが利用できる場所(業務スペースや執務室など)
セキュリティレベル4:社員でも入室制限が必要な場所(サーバールームや極秘資料書庫など)
上記のセキュリティレベルに合わせて、セキュリティレベル3~4の場所はなるべく、外部の人間がアクセスしにくい区分けをすることで、情報漏洩のリスクの軽減や企業の資産を守ることにつながります。
セキュリティシステムやツールを導入するだけでは、適切に運用できない場合があるため規定やルールづくりも重要です。例えば、防犯カメラを設置しても誰が映像をチェックするのか、操作するのかが決まっていなければ、ただ設置しているだけになってしまいます。
そのほかにも、入退室管理システムを導入しても、従業員が使い方を分からないければ、必要なときにアクセスできないといったトラブルになる場合もあるでしょう。
そのため、どのように運用していくのかを規定やルール策定し、従業員への情報共有や教育も必ず行ってください。
オフィスセキュリティの重要性や対策方法を理解したところで、次はオフィスのセキュリティの種類と導入費用の目安(※)について解説します。
※導入費用の目安は編集部調べ。2024年11月の情報です。
入退室管理システムは、誰が入退室を行ったのかを管理するシステムです。特定の場所の出入りを制限できるため、セキュリティ強化につながります。入退室管理システムは、主に下記の認証方法があります。
認証方法 | 特徴 | 導入費用目安 |
セキュリティカード方式 | ICカードを持っている人が入室できる | 初期費用:約10万円~40万円 月額費用:約5,000円~2万円 |
テンキー方式 | 暗証番号を知っている人のみ入室できる | 初期費用:約10~20万円 月額費用:約5,000円~2万円 |
顔認証・指紋認証方式 | 登録された生体的特徴が合致した人のみ入室できる | 初期費用:約40万円~100万円 月額費用:約3万円前後 |
スマホ認証 | 専用アプリで認証後に入室できる | 初期費用:約5万~10万円 月額費用:約5,000円~3万円 |
監視カメラが設置されていると、不審者の侵入や従業員の不正行為を未然に防ぐ効果があります。多くの企業では、オフィスのエントランスやロビーなどに多く設置されており、執務室や資料室などにも設置する企業も多いです。
防犯カメラの設置費用は、設置を依頼する事業者によっても異なりますが、一般的に1台あたり約15万~50万円程度。なかには、警備会社を連携し、監視サービスを行ってくれるサービスもあります。
重要書類や機密書類などは、金庫保管するのがおすすめです。金庫の活用だけでなく、入退室管理システムを設置したセキュリティレベルが高い場所で2段階で対策することで、さらにセキュリティを強化できるのが特徴。
金庫にも種類があり、テンキー式やダイヤル式、指紋認証などがあり、大きさや機能によって金額が異なります。また、銀行の貸金庫サービスを活用する方法もあるので、お近くの銀行貸金庫サービスも検討しましょう。
方式 | 導入費用目安 |
テンキー式 | 約1万円~10万円 |
ダイヤル式 | 約1万円~10万円 |
指紋認証式 | 約10万円~30万円 |
銀行貸金庫サービス | 約6ヶ月1万円~3万円 |
取引で利用した書類や、退職した社員の個人情報などの書類をそのまま捨ててしまうと悪用されてしまう場合があるため、シュレッダーにかけて捨てましょう。
シュレッダーのなかでもクロスカットやスパイラルカットなど、書類の内容を判別しにくい裁断方法を採用したシュレッダーがおすすめ。導入費用は約5万円~15万円程度が目安です。
パーテーションや間仕切りを作ることで、のぞき見の盗み聞きなどのリスクを軽減できます。間仕切りは個室のような空間をつくることができるため、パーテーションよりもセキュリティを強化できるでしょう。
パーテーションは1㎡あたり約9万円~15万円程度が目安。間仕切りは素材や広さにもよりますが、簡易的なものなら約15万円~、アルミ製なら約50万円~、スチールやガラス製なら約80万円〜を目安にするとよいでしょう。
サウンドマスキングは、防音対策に効果的で、話し声を外に漏れてしまうリスクを軽減します。工事費用の目安は、坪単価約3万円~10万円程度です。部屋の広さによって費用も高額になるので注意しましょう。
オフィスのセキュリティ対策をしようと思っても、導入費用が高額で難しいという方も多いでしょう。
三井不動産の法人向けのレンタル・シェアオフィスサービス「ワークスタイリング」は、必要な設備がそろっていてセキュリティ対策もばっちりなので、ぜひ利用を検討してみてください。
「ワークスタイリング FLEX」は、1ヶ月、1席から利用することができるサービスオフィス。新宿や六本木、汐留などの都心を中心に展開されており、本社オフィスやプロジェクト単位の利用も可能です。
クルーによる有人管理、セキュリティカメラによる警備、サウンドマスキングシステムによる音漏れ防止などセキュリティ対策も充実しています。入退館もICカードで管理しており、万が一紛失した場合でも遠隔操作で停止できるのもポイント!
「ワークスタイリングBASE」は、専有個室をもたず、登記だけ行いたい場合におすすめのプランです。契約拠点のオープンスペースを無料で利用でき、全国約550拠点のワークスタイリングも別途有料で利用できるのもうれしいポイント。
入退館手続きは、個別会員サイトで発行されるQRコードでチェックインします。会議室や応接スペースも完備されているため、別途料金で必要に応じて利用できるのも特徴です。
「ワークスタイリング SHERE」は、法人向けの多拠点型サテライトオフィスです。本社1拠点での働き方に加え、ワーカーのワークスタイルやライフステージにあわせた多拠点のオフィスを10分単位で利用できます。
電話ブースや隣の席の声が遮断されるサウンドマスキングなどプライバシーにも配慮されており、セキュリティ体制もばっちり。個室から会議室まで多様なワークスペースが利用でき、備品や複合機などのオフィスツールも完備しているため、円滑にビジネスを進められます。
企業の情報データや備品など企業の大切な資産を守るためには、オフィスのセキュリティ対策は必要不可欠です。とくに機密書類や個人情報が流出してしまうと、企業としての信用を失い、経営にも大きな損失をもたらす恐れがあります。適切なセキュリティ対策を行い、自社の社員や企業価値を守りましょう。
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