ワークエンゲージメントを高めることで、離職率の低下や生産性の向上などが期待でき、企業にとって多くのメリットがあります。本記事では、ワークエンゲージメントを高めるメリットや、高める方法、測定方法、事例などを解説します。「離職率が高い…」「新入社員がすぐやめてしまう…」などと悩んでいる方は、ぜひ参考にしてみてください。
ワークエンゲージメントとは、従業員が仕事にやりがいや誇りを持ち、ポジティブな感情を持っている状態のことをいいます。厚生労働省公表の「労働経済白書」(令和元年)で取り上げられてから、より一層世間に認知されるようになりました。
ワークエンゲージメントは、仕事に関連するポジティブで充実した心理として、「熱意」「没頭」「活力」という3つの要素を満たした状態と定義されています。
熱意:仕事に誇りややりがいを感じている状態
没頭:仕事に熱心に取り組んでいる状態
活力:仕事から活力を得ていきいきしている状態
ワークエンゲージメントが高い人は、仕事に誇りとやりがい、活力を感じ、熱心に取り組み、いきいきとしている状況にあるといえます。
ワークエンゲージメントを高めることによって、仕事の生産性が向上したり、離職率の低下に繋がったりとさまざまなメリットがあります。まずは、ワークエンゲージメントを高めるメリットについて確認しましょう。
ワークエンゲージメントが高まると業務のパフォーマンスがアップし、生産性が向上します。例えば、研修や資格取得に力を入れて従業員の学習意欲が高まった場合、参加経験や知識を活かし、より質の高い業務が行えます。
このようにチャレンジ精神が活性化されることで、仕事の生産性が高まることが期待できるでしょう。
ワークエンゲージメントが高いと、離職率の低下に繋がるのもメリット。仕事にやりがい、誇り、活力を感じることにより、仕事に愛着と幸福感が沸き、離職に繋がりにくくなります。
ワークエンゲージメントを高めて離職率を減らすことができれば、今後の人材採用や育成コストの抑制にも繋がります。
ワークエンゲージメントを高めることで、従業員のやる気がアップするのも特徴です。ワークエンゲージメントが高いと仕事への積極性が生まれ、新しいアイデアが創出されやすくなったり、研修や資格取得を目指す社員が増えたりと、業績アップや組織の活性化に繋がります。
ワークエンゲージメントが高まれば、顧客満足度の向上も期待できます。従業員が自社の商品やサービスに誇りを持ち、高いモチベーションで働くことで、自信を持って自社の商品やサービスをアピールできます。
自社の従業員の働き方、セールスの仕方など、顧客にポジティブな印象を持たせることができれば、成約に繋がりやすくなるでしょう。
ワークエンゲージメントを高めることで、従業員のメンタルヘルス対策になるのもメリットです。ワークエンゲージメントは、従業員が仕事に対してポジティブな感情を持っている状態なので、業務におけるストレスを感じにくい状態であることが分かります。
メンタルチェックやストレスチェックを行い、早期発見に務める企業も多いですが、実際にメンタルヘルス問題を解決するには、従業員がストレスを抱えにくい環境づくりが大切です。
従業員の一人ひとりのワークエンゲージメントが高まれば、ほかの社員にもよい雰囲気が伝播し、社内全体の雰囲気がよくなります。やりがいや誇りを持ち、ポジティブに働く社員のイメージは、同じ会社で働く社員や顧客にもよい印象を与えます。
社内全体の雰囲気がよくなれば、社内環境の改善や組織風土の構築にも繋がるのがメリットです。
ワークエンゲージメントを高める方法として、ジョブ・クラフティングに取り組む施策があります。ジョブ・クラフティングとは、従業員自らが仕事に対する認知や行動を変えることで、仕事の意識をポジティブに導く手法のことです。
ジョブ・クラフティングに取り組むには、自分の働き方を3つの視点から修正、見直しを行います。働き方を工夫することで、従業員のワークエンゲージメントを高めることができるでしょう。
視点 | 具体例 |
作業クラフティング(仕事のやり方に対する工夫) | 目標設定や優先順位をつけたスケジュール管理 |
人間関係クラフティング(周囲の人への働きかけの工夫) | 職場の先輩に自らの仕事に関するアドバイスを求める |
認知クラフティング(仕事の捉え方や考え方に関する工夫) | 自分の仕事が自分の将来に与える意義を考える |
※"厚生労働省「コラム2-6図 ジョブ・クラフティングについて」"参照
ワークエンゲージメントを高めるためには、教育制度や人事評価制度を見直す方法もあります。人事評価制度は、給与や待遇に直結するため、適切に評価されていないと感じると従業員のモチベーションが低下してしまいます。
従業員が納得のいく評価を行い、モチベーションの低下を防ぐためには、労働環境を整備する必要があります。例えば、仕事に対する態度や意欲を評価する制度、すべての職種に平等に評価できる360度評価の導入などが有効な手段です。
教育制度については、メンター制度の導入があります。メンター制度とは、新入社員や若手社員に年齢や勤続制度が近い社員をサポート役に配置する制度のことです。
メンター制度を導入することで、従業員間のコミュニケーションが取りやすくなり、離職率の低下やメンタルヘルス対策になるでしょう。さらに、メンターとなる従業員の成長が期待できるのも特徴です。
ワークエンゲージメントを高めるためには、従業員に面談やアンケートを実施する施策もあります。日々の業務に関する悩みや課題について、上司や同僚と話し合えたり、気軽に意見を出す環境を整備したりすることで、必要に応じた対応がしやすくなります。
業務に関する問題を把握し、改善を適切に行うことが、ワークエンゲージメントを高めることに繋がります。
ワークエンゲージメントを高める方法には、従業員のやる気がアップする環境づくりも大切です。業務に集中できる環境を整備したり、労働条件を見直したりするだけで従業員の活力に直結します。
例えば、オンオフのメリハリをつけやすくするために、休憩スペースの環境を充実させたり、サテライトオフィスを導入したりする方法があります。柔軟な働き方を取り入れて従業員のやる気を引き出し、そのやる気を維持できる環境づくりについて検討しましょう。
ワークエンゲージメントを高めるには、業務の自動化を推進する方法もあります。業務が自動化されれば、従業員の日常の業務内容の負担を軽減し、業務効率がアップします。
例えば、データ抽出や集計の自動化ツールを導入したり、顧客対応をチャットボットで自動化したりする方法などが挙げられます。単純作業や定型作業を自動化することで、作業時間や残業時間を短くでき、人件費の削減も可能です。
ワークエンゲージメントを高めるには、従業員のポジティブな側面を伸ばす意識が大切です。ポジティブなフィードバックを意識することで、従業員のモチベーションをアップさせ、成長を促せます。
ポジティブな側面を伸ばすには、肯定的な言葉で部下の仕事を褒める方法があります。褒められることによって自信がつくため「さらに頑張ろう」と仕事へのモチベーションを高められるのがメリットです。
ただ褒めるだけではなく「どこがよかったのか」「次の目標はどうするか」「まだ改善が必要な部分があるのか」などを盛り込めば、更なる成長が期待できるでしょう。
ワークエンゲージメントを高める施策を行った後は、どのように変化したか測定することが大切です。ワークエンゲージメントの測定方法は、以下の3つがあります。
1.UWES
2.MBI-GS
3.OLBI
ここからは、それぞれの測定方法について解説します。
UWESとは、仕事にどれくらい積極的に意欲を持って取り組んでいるかを測定する方法です。UWESの測定方法は、17項目の質問で測定する通常版、9項目の質問で測定する短縮版、3項目の質問で測定する超短縮版の3種類があります。
「活力」「没頭」「熱意」に関する要素の質問項目があり、回答の点数によってワークエンゲージメントのスコアを測定します。
MBI-GSとは、ワークエンゲージメントを測定するために、バーンアウトの度合いを図る測定方法です。バーンアウトとは「燃え尽き症候群」とも呼ばれ、それまでモチベーションを高く保っていた人がやる気を失ってしまう症状です。
「疲労感」「シニシズム」「職務効力感」の3つの要素の質問項目があり、回答の点数によってワークエンゲージメントを測定します。バーンアウトはワークエンゲージメントと対局の測定方法なので、測定スコアが低いほどワークエンゲージメントが高いことになります。
メンター制度を導入することで、従業員間のコミュニケーションが取りやすくなり、離職率の低下やメンタルヘルス対策になるでしょう。さらに、メンターとなる従業員の成長が期待できるのも特徴です。
OLBIとは、MBI‐GSと同様にバーンアウトの度合いを測定する方法です。「疲労」と「離脱」の2種類の質問項目があり、回答の数値によってバーンアウトの度合いを測定します。
OLBIもワークエンゲージメントと対極の意味があるため、測定結果が低いとワークエンゲージメントが高いと判断できます。
ここからは、ワークエンゲージメントが高い企業の取り組みを紹介します。
雇用管理 | ・職場の人間関係やコミュニケーションの円滑化 ・労働時間の短縮や働き方の柔軟化 ・業務遂行に伴い裁量権の拡大 |
人材育成 | ・キャリアコンサルティング等による将来展望の明確化 ・指導係や教育係の配置(メンター制度等) |
※"厚生労働省労働経済白書(令和元年版)「従業員の働きがいが高い企業の取り組み」"参照
職場の人間関係やコミュニケーションの円滑化を図るために行われた事例は、1on1ミーティングの実施です。1on1ミーティングとは、上司と部下が1対1で行う対話で、悩みや将来的なビジョンを理解し、部下の成長をサポートする取り組みです。
仕事の話に限らず、ざっくばらんな話もすることで上司と部下の関係性もよくなり、離職率が低下した事例があります。
労働時間の短縮や働き方の柔軟化を図るために行われた事例は、チャージ休暇の導入です。チャージ休暇とは、従業員が大型の休暇を取得する休暇制度です。リフレッシュできる機会になるだけでなく、チーム内での相互協力体制の構築が促進され、チームのワークエンゲージメントの向上に繋がりました。
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さらに、会員の貸し会議室サービスも行っており、必要に応じて約1,100円/会議室・時間で利用できるのもメリット。全国約550拠点に展開するシェアオフィス『ワークスタイリングSHARE/SOLO』も別途有料で利用できるので、場所を選ばず仕事に打ち込める環境を整えられます。
従業員のワークエンゲージメントを高めることで、離職率が低下したり、従業員のやる気アップに繋がったりと企業にとってさまざまなメリットがあります。
従業員のワークエンゲージメントを高めるためには、働く環境を改善する方法も1つの手段です。従業員が業務に集中しやすい、従業員同士がコミュニケーションを取りやすい、気持ちよく働ける環境を整備することで、仕事のモチベーションに繋がります。ぜひ三井不動産が提供するワークスタイリングBASEの利用を検討してみてください。
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