レンタルオフィスで法人登記は可能?住所登記や口座開設について

レンタルオフィスの住所は登記に使うことができるのでしょうか?

一般的な賃貸借契約では、敷金・礼金・保証金をはじめ、内装工事、インターネット回線・電話回線の導入、業務に必要なデスクなどのオフィス家具やOA機器の購入など、相当なコストがかかります。
一方レンタルオフィスは諸費用が不要であったり、家具などがすでに用意されていることも多く、注目を集めています。しかし、企業が拠点を構える際、その住所で法人登記ができるのかどうかは大きな問題です。

これからオフィスを借りる方に向けて、そもそもレンタルオフィスを法人登記に利用できるのか、その際に必要な手続きはどんなものがあるのかなど、レンタルオフィスでの法人登記について紹介していきます。

レンタルオフィスをはじめ、サテライトオフィスやコワーキングスペースなどのサービスは注目されている。一等地にあるサービスオフィスで法人登記や商業登記、移転登記を行うことができれば、起業や移転の際に好立地の住所を手に入れることができ、郵便物の受取・転送も可能。信用度を上げることができ、個人事業主が法人化(法人成り)の可否を決定する際やスタートアップ企業にとって有益といわれる。住民票の登録には対応できないので注意。

そもそも法人登記とは?

法人登記とは、「企業や団体が法人として法的に認められるために必要な手続き」を指します。企業や団体は法人登記をおこなうことで法人格を取得でき、法的な主体として契約や紛争解決など、さまざまな法的手続きができるようになります。

1.1 法人登記により得られるメリット

法人登記のメリットはいくつかありますが、そのなかでも大きいのが「節税効果」です。納税額の節約も可能となります。
また、法人格を持つことで社会的信用が高まるため、資金調達がしやすくなるメリットもあります。銀行からの融資もより有利な条件で受けられるようになるでしょう。
決算月を自由に設定できる点も法人の特徴です。基本的に事業年度は1月から12月までと決まっていますが、法人ならば決算時期を自由に設定できるので、繁忙期に重ならないようにベストなタイミングを選択できます。

将来的なメリットとして、法人には相続税がかからないという点も挙げられます。これにより事業を承継していくうえでのハードルが低くなるため、継続的な事業展開を望むなら法人登記は有効な選択肢となります。

1.2 法人登記の手順と必要書類

コワーキングスペースなどのタイプでは、実際に作業スペースを持たずに格安で利用できるバーチャルオフィスという形態を取っているところもあり、許認可が認められることもある(審査基準による)。支払う経費を抑えたい個人事業主や人材派遣業などに利用されているが、廃業のときのリスクも頭に入れておく必要あり。レンタルオフィスは少人数でも借りることができるため、小規模な事業者でも利用しやすい。ビジネス街や金融機関、取引先の近くに拠点を置くことが可能になる。自社に適す条件のオフィス選びをすると良い。

法人登記の手順は、大きく分けると以下のように進みます。

  1. 会社の基本事項の決定
  2. 法人用の実印の用意(オンライン申請の場合不要)
  3. 定款の作成と認証
  4. 資本金の調達
  5. 法人登記の申請
  6. 登免税の納付

法人登記は、会社の基本事項を決めるところから始まります。基本事項には主に以下の項目が存在します。

  • 社名(商号)
  • 事業目的
  • 本社の所在地
  • 資本金
  • 会計年度(事業年度)

基本事項を決めたら、次に用意するのは法人用の実印です。法人口座開設用の銀行印と各種書類に押印するための角印(社判)も作成しておくとよいでしょう。
2021年の法改正によりオンラインで法人登記をする際の印鑑提出は任意になりましたが、法人立ち上げ後に実印を使う機会は決して少なくないため、作っておくとよいでしょう。

次に、会社を運営するうえでのルール集である「定款」を作成し、公証役場に提出し認証を受けます。(オンライン申請も可能)ただし認証の手続きは株式会社の場合のみ必要であり、合同会社や合名会社などの場合は必要ありません。
上記の準備と並行して、資本金を用意することも重要です。2006年施行の新会社法で資本金の最低金額が撤廃され、1円から法人登記ができるようになりましたが、実際に1円で会社を設立するのは難しいといえます。会社運営の他、オフィスの契約料や備品購入などの際に過不足ない額は用意しておきましょう。
これらの準備が整ったら、法務局に出向き、法人登記の申請をします。

法人登記申請に必要な書類

  • 登記申請書
  • 登録免許税納付用台紙
  • 定款
  • 発起人決定書(複数の場合は「発起人会議事録」)
  • 代表取締役の就任承諾書
  • 取締役の就任承諾書
  • 取締役の印鑑証明書
  • 資本金の払込みがあったことを証する書面
  • 印鑑届出書
  • 「登記すべき事項」の一覧(CD-Rなどの電磁的記録媒体でも可)

なお、会社の設立日は「法人登記の申請日」となります。大安吉日など特定の日を設立日にしたい場合には留意しておきましょう。
また、登記に関する書類は、法務局に出向く以外に、郵送しても問題ありません。その場合の会社設立日は書類が法務局に到着した日となります。設立日の指定がある場合は日付指定郵便で送りましょう。
そのほか、法務局の登記・供託オンライン申請システム「登記ネット 供託ネット」からも申請が可能です。オンライン申請の場合は、申請日が設立日となります。

レンタルオフィスの法人登記について

レンタルオフィスは注目度が高く、続々とオープンしている。貸し会議室やプライバシーが確保された個室、共用のワークスペースがある場合が多く、スタッフが常駐し、ティーサーブのサービスがあるところも。犯罪に巻き込まれないためにもセキュリティ対策がしっかりしている事務所は信用度があがる。プランによっては専有スペースを持つことができたり、電話回線・固定電話を引けるケースも。会議室や執務室があると来客時に応接室として使うこともできる。内覧してから決定すると良い。複合機などの機器は他の企業とシェアするケースが多い。

ここまで法人登記の基本について解説してきました。では、レンタルオフィスの住所を法人登記に利用することは可能なのでしょうか?レンタルオフィスでの法人登記について説明します。

2.1 法的にはレンタルオフィスでも登記可能

現在の会社法において、レンタルオフィスでの会社設立は禁止されていません。レンタルオフィスの運営会社が許可していれば、レンタルオフィスを会社の所在地にして法人登記ができます。
ただし、会社設立と事業認可は別物です。職種によって営業許可を得るための条件が異なるので、レンタルオフィスで法人登記をする際にはその点にご注意ください。

2.2 登記不可のレンタルオフィスもある

法的には法人登記が可能ですが、すべてのレンタルオフィスが登記可能なわけではありません。運営会社が法人登記を許可していないケースもあります。
そのため法人登記を視野に入れている場合は、要件をしっかりと確認し、法人登記が可能なレンタルオフィスを選ぶことをおすすめします。

レンタルオフィスで法人登記する際の注意点

法律で認められているレンタルオフィスの法人登記のメリットとして、節税があげられる。税金の対策は重要。また、レンタルオフィスを持つことで取引先と近距離に拠点を構えたり、移転先として設定することで、費用を軽減できる可能性がある。起業・開業する際にも初期から好立地の住所が持てるため、起業家・経営者からも注目されており、スモールビジネスやプライベートカンパニーにも向いている。

レンタルオフィスで法人登記する際には、いくつか注意すべきことがあります。

3.1 すべてのレンタルオフィスが登記可能なわけではない

先述したように、すべてのレンタルオフィスが登記可能なわけではありません。会社法で許可されていてもレンタルオフィスの運営会社が許可していないケースがあり、その場合は法人登記には利用できません。
そのため、あらかじめ法人登記可能なレンタルオフィスを選ぶことが重要です。

3.2安定性を加味してレンタルオフィスを選ぶ

レンタルオフィスそのものの魅力や利便性はもちろん重視すべきですが、そのレンタルオフィスをどんな会社が運営しているかもチェックすべきポイントです。一般的な知名度の高い企業や大手企業が運営しているレンタルオフィスであれば信用度や実績の面でも安心して法人登記に使うことができます。しかし、あまり実績のない企業のレンタルオフィスの場合、住所を所在地として法人登記できても、レンタルオフィス側が撤退したり事業をやめてしまうというケースがあります。その場合登記変更の手間や費用が発生します。こうしたリスクを減らすためにも、運営元の安定性や経営状況、実績などの情報を調べておくことが大切です。

失敗しないレンタルオフィスの選び方

法人登記完了後に別の住所に変更する場合、手続きの手間や費用が発生します。法人登記を視野に入れる場合は、後悔しないよう吟味してレンタルオフィスを選ぶようにしましょう。

レンタルオフィスを選ぶ際には、アクセス性や周辺施設の充実度が重要になります。駅などの交通機関からの距離や、オフィス周辺に銀行や郵便局があるかなど、ビジネス面での利便性も仕事の能率に関係してくるので重要なポイントです。
また、オフィスを構えるエリアや入居するビルのステータスは企業の信用につながります。
他にも安心してビジネスに取り組める高いセキュリティを完備しているか、利用できる設備は希望を満たしているかなど、実際にオフィスとして利用することをイメージして選ぶとよいでしょう。

立地やコストなど、企業によって求める条件は違います。
レンタルオフィスの選び方については、以下の記事で詳しく解説しています。どのような観点で比較検討すればいいかお悩みの方はぜひ併せてご覧ください。

「失敗しないレンタルオフィスの選び方は?注目すべき14のポイント」を読む ▶︎

レンタルオフィスの住所で銀行口座を開設できる?

国際航空までのアクセスが良い新宿、オフィスビルが多い赤坂や新橋、銀座、秋葉原、日本橋、日比谷、丸の内などは人気のエリア。他にも、虎ノ門や恵比寿、池袋、神田、渋谷、青山なども注目度が高い。名刺にも都内の一等地の住所が載る。本店を都心に持つことで信用度が向上する。業種を選ばず活用できる点も魅力。プロジェクトオフィスとして使うことも。物件によっては短期間だけ借りられるなど、賃貸で借りるよりも手軽であることが多い。

法人登記と併せて用意しておきたいのが事業用の銀行口座です。銀行口座も、登記と同様にレンタルオフィスの住所が使用できるのでしょうか?

5.1 レンタルオフィスの住所でも開設可能

結論からいうと、レンタルオフィスの住所を使って銀行口座を開設することは可能です。しかし、住所の点では問題ありませんが、後述するように審査などで注意が必要になる可能性があります。

5.2 銀行口座の開設方法・必要なもの

事業用の銀行口座開設には、会社の登記簿謄本や定款、印鑑証明書などの書類の他、代表者の本人確認資料、法人の実印などが必要となります。
口座開設を希望する銀行によって申込書類の書式が異なるため、事前に確認しておきましょう。

5.3 銀行口座の審査に通るには?

近年、新規口座開設の審査ハードルが上がっています。そのため、住所の面でクリアできても審査に通らない可能性があります。オフィスを運営している会社の信用度が口座開設の審査に影響する場合があることを意識して、レンタルオフィスを選ぶとよいでしょう。

このように、銀行口座の審査に通るには企業や事業の信頼性を示すことが大切です。財務や税務などについての資料があるならば申請時に忘れず添付したり、WEBサイトや営業用資料、契約書など、実務で使用しているものを持参したりすることで、銀行側に信頼感を与えることができます。

まとめ

ここまで、レンタルオフィスで法人登記が可能かどうかについて解説してきました。法的には問題ないものの、レンタルオフィスによっては法人登記を許可していないケースがあるため契約前によく確認しましょう。
また、法人オフィスとして利用するにあたってレンタルオフィスの「信頼性」が問われることがあります。どんな企業が運営しているのか、安心して利用できるのかについても併せて考えるとよいでしょう。

三井不動産が運営する「ワークスタイリング FLEX」は、企業のステータス向上につながるハイクラスなレンタルオフィスを展開しています。柔軟な対応が可能で、法人登記や銀行口座開設に住所をお使いいただくことも可能です。
レンタルオフィスの契約をご検討の際は、ぜひお気軽にお問い合わせください。

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