ビジネスにおいてオフィスは重要な拠点です。日々の業務をスムーズに進めるためにも立地や広さ、設備など自社のビジネスに合ったオフィスを構える必要があります。
もし現在のオフィスが業務やワークスタイルに合わず移転する場合、失敗のないオフィス選びを心がけたいものです。
ここでは、オフィス移転を検討するにあたって注意すべきポイントや移転の際のスケジュールなどを解説します。
オフィス移転は多くの費用や時間がかかるため、頻繁に実施できるものではありません。そのため、実際に移転をする前に十分な検討を重ねることが大切です。なぜオフィス移転をしたいのか、現在のオフィスのどこに問題があるのか、かけられる予算はどのぐらいあるかなど課題や条件を整理しまとめることで、オフィス移転の失敗を防ぐことができます。
オフィス移転を考えるうえで最初にすべきなのが「目的の整理」です。
なぜオフィスを移転したいのでしょうか。オフィス移転を要する背景には、「コスト削減」や「社員の通勤時間の短縮」「生産性の向上」「企業ブランディング」など、様々な目的があります。移転によってどんなことを達成したいのか、大前提となる目的を整理し、オフィス選びで迷った際に立ち戻れる旗印として立てるとよいでしょう。
また、オフィス移転は、従業員の声を収集し、反映する絶好の機会でもあります。経営陣のみならず、従業員の視点も含めて計画を策定することで、誰もが使いやすいオフィス環境を作ることができます。
オフィス移転の目的がまとまったら、次にすることは「現在のオフィスの課題点の整理」です。現在のオフィスの課題点を新しいオフィスを選ぶ際の目安にすれば、よりビジネスや希望に合った働きやすいオフィスと出会えるでしょう。
課題点を収集するうえで、現場の従業員とのコミュニケーションは必要不可欠です。「今、困っていることは何か」「どうしたらオフィスがもっと使いやすくなるか」をヒアリングし、現状の課題を見直しましょう。
目的や課題の洗い出しをおこない、「新しいオフィスに望む条件」が出てきたら、オフィス選定に移る前に、抽出した条件に優先順位を付けましょう。
もちろん望む条件をすべて満たすオフィスが見つかればよいのですが、実際のオフィス選びでは、いずれかの条件を妥協しなければならない可能性もあります。たとえば、少々手狭でも、駅から近く、交通の利便性が高い物件の方が良いと考える企業もあります。喧騒ある通り沿いでも、食堂やカフェが多く、ランチ利用やショッピングに便利で快適性のある物件が良い企業もあるでしょう。
過度に理想を追求しては、いつまでもオフィス移転ができません。事前に優先順位を付けておき、オフィス選びをスムーズに進めましょう。
オフィス選びの際には、予算や利用可能人数、面積や移転時期など要件を検討する必要があります。また、オフィスには「賃貸オフィス」や「レンタルオフィス」など複数の形態があるため、メリット・デメリットを比較して決めるとよいでしょう。それぞれ詳しく解説します。
オフィス移転は長い時間を費やすプロジェクトであり、一般的に平均6か月〜1年以上かかります。移転に関してパートナーや業者を選定する場合は、長期間にわたってやり取りをする相手であるということを意識しましょう。
まず、予算はオフィス移転計画において重要なポイントです。賃料や内装投資やインフラ整備等の初期費用はもちろん、旧オフィスを解約して引き払う際の原状回復工事にかかる費用も忘れてはいけません。前のオフィスを去るまでが移転計画であると考え、予算を見積もる際に漏れのないよう計画を立てましょう。
また、新オフィスの規模を決める際に注意したいのが「使用人数」です。オフィスに何人程度常駐するのかがわかれば自ずと必要な坪数や面積が計算できますし、オフィスの面積が確定すれば、条件を満たすビルやレイアウトなど、計画を立てる際に必要な数字を算出することができます。契約前には可能な限り現地を訪問し、現状の物件の状態を調査・確認しておきましょう。また、オフィスビル周辺の街並みなど、総合的な雰囲気を体感しておくのもおすすめです。
オフィスデザイン・レイアウトなどのプランを立案する際は図面などがあると便利なので、可能であれば手に入れておきましょう。
一方、オフィスに常駐する人数についてはテレワーク・ハイブリッドワークの導入が普及しつつある昨今、なかなか読みづらいかもしれません。こうしたオフィス規模の拡大、縮小については「レンタルオフィス」の検討が有効です。詳しくは次項にて説明します。
先述のとおり、オフィスには「賃貸オフィス」や「レンタルオフィス」などいくつかの形態があります。
まず、賃貸オフィスとレンタルオフィスの違いとして「契約形態」が挙げられます。
基本的に賃貸オフィスは「賃貸借契約」を締結する必要があり、契約のハードルが高い他、契約期間も一般的に2年程度の単位となります。
それに対してレンタルオフィスの契約はサービス利用や施設利用に関するもので、契約のハードルが低く、一か月程度の短期で契約することもできます。そのため、オフィス移転以外にも多様な業務を抱えているお客様の負荷を最小限に抑えることが可能です。
また、敷金・礼金がないことやすでに内装が整備されていること、また、Wi-Fiや水光熱費が使用料に含まれるなど、費用がコンパクトにまとまっているのもレンタルオフィスのメリットです。ウォーターサーバーやフリードリンクなどを利用できる店舗もあります。
例えば「ワークスタイリングBプラン(FLEX)」の場合、基本の席料と保証金(契約一ヵ月分)で利用を開始できます。更新料や、施設に破損・汚損がなければ退去費用も必要ありませんので、さらなるコスト削減が実現できます。
さらに、「ワークスタイリングBプラン(FLEX)」の場合は契約後の席数や利用人数の変更が可能です(※)。
テレワークへの移行や出社とテレワークの両立(ハイブリッドワーク)とも相性がよく、オフィス規模やコストの最適化につながります。
※拠点と区画によって異なる場合がございますので、詳細はお問合せよりご相談ください。
賃貸オフィスとレンタルオフィスの違いについて、詳しくは以下の記事をご覧ください。
「レンタルオフィスと賃貸オフィスの違いは?費用やメリットを徹底比較」を読む ▶︎
オフィスの移転完了までにはさまざまな工程があり、ゴールを見据えながら目の前の作業を一つずつこなしていくことになります。本項ではオフィス移転の流れを順に並べ、チェックリスト形式で説明します。
オフィス移転を決定した際、最初に取り掛かるべき仕事は「要件定義」です。なぜオフィスを移転するのか目的を定め、現在のオフィスの課題点を洗い出します。プロジェクトマネジメントのため、社内にプロジェクトチーム・担当者を設置することも重要です。
その後、抽出した条件や課題を解決できる新オフィスを探します。この段階で全体のスケジュールも決めておきましょう。
<実施時期の目安>
オフィス移転の6か月前(完了までの全体スケジュールを6か月として算出)
<やることチェックリスト>
移転計画が決まった後は、物件と業者の選定を開始します。前の工程で決めた優先順位や譲れない条件をベースに、移転先に求める条件を設定しましょう。
その後、内見をして候補を絞っていくなど比較検討を進めていきます。良い候補が見つかったら契約を進めていきましょう。
また、同時進行で移転に関わる業者の検討も進めていきます。不動産会社や建設業者、仲介事業者などを選定する際には、推進力があり、困りごとを気軽に相談できるパートナーを選ぶのがおすすめです。
<実施時期の目安>
オフィス移転の6か月前
<やることチェックリスト>
新オフィスの契約が完了した後は、現オフィスの解約を進めます。まずは賃貸借契約書を確認することから始めましょう。一般的に、オフィスの解約時には解約予告と、壁や床、天井などを入居時の状態に戻す原状回復工事が必要です。解約予告の期限までに解約ができないと、せっかくの準備やスケジュール計画が無駄になってしまい、余計な賃料がかかってしまう可能性があります。余裕をもって、早めのタイミングで、不動産を管理している貸主に退去の旨を言うようにしましょう。
<実施時期の目安>
オフィス移転の6か月前(オフィスビルの解約予告は3か月~1年前までの申し出が必要となることが多いため、注意すること)
<やることチェックリスト>
現オフィスの原状回復工事施工業者を選定するなど引き払いの準備を進めつつ、新オフィスの設計やレイアウト・デザイン、設備などを決定していきます。使用人数や業態に合わせた設備や広さ、作業スペースを確保するのはもちろん、企業イメージに合うか、動線はどうかといった部分も意識しましょう。
また、昨今はコロナ禍を経て働き方が多様化しつつあります。オフィスワークとテレワークを併用する場合は考慮したうえでレイアウトプランや設備を決めていきましょう。たとえば、ビデオ会議に便利な個室を設置したり、出社したメンバーとの交流を深める休憩スペースなどを設置することも有効です。
レンタルオフィスの場合はレイアウトや設備がビジネスに最適化された状態で契約できるため、レイアウトやデザインに関する工程を省くことができます。提供される設備や内装はレンタルオフィスや拠点により異なるため、内見や契約の際に確認しておきましょう。
<実施時期の目安>
オフィス移転の3か月~5か月前
<やることチェックリスト> ※レンタルオフィスであれば省略可
新オフィスの設備やレイアウトが決定したら、内装工事や設備工事に取り掛かりましょう。また、同時に電気・通信などのインフラや複合機・ビジネスフォンなどのOA機器などの設備の移設手配、抗菌コーティングなどもおこないます。場合によってはリースを活用することもできます。施工管理の担当者と適宜工期を確認の上、引越し日までに各種工事を終えられるよう、スムーズに進めるようにしましょう。
<実施時期の目安>
オフィス移転の2か月~3か月前
<やることチェックリスト> ※レンタルオフィスであれば省略可
新オフィスの工事が滞りなく進んだら、次は引越し準備を進めていきましょう。 期間内に引越し準備を終えられるよう、スケジュール表やタスク管理表を作成の上、現場社員を巻き込みながら進めるのがおすすめです。引越しの見積もりを頼む際は、一括見積もりをおこなうとコストを抑えることができます。業者を決める際には価格だけを見るのではなく、何をしてくれるのか、何をしないのかを確認するのも重要です。
引越しの際には、家具などの大きなものも含め、廃棄物が発生します。廃棄物を引き取るサービスがあればそのぶんの手間が省け、大きなメリットになりますので、その点も意識して業者を選びましょう。廃棄する物のリストを作成しておくと円滑に進めることができます。
<実施時期の目安>
オフィス移転の1か月~2か月前
<やることチェックリスト>
オフィス移転にあたっては、社外はもちろん社内への情報共有が大切です。移転スケジュールの告知や作業指示をおこないつつ、取引先など各所へ送る移転挨拶状の作成や、リニューアル後の新住所を記載した名刺、封筒、会社案内などの印刷物発注もここでおこないます。変えるべき物はいくつもあるので、チェックリストに沿って漏れのないように進めていきましょう。
<実施時期の目安>
オフィス移転の1か月前
<やることチェックリスト>
引越しの手配や印刷物の準備と並行して、旧オフィスの原状回復や鍵の返却・引き渡しについてもスケジュールを決めていきます。旧オフィスの壁や床、天井、機器、備品などは全て元の場所に戻すようにし、原状を復帰する必要があります。旧オフィス内に作業スペースを確保しながら工事を進めたい場合には、土日や夜間を利用して原状回復工事を行うこともあります。原状回復工事は貸主側とのトラブルが発生しやすい傾向があります。早いうちから工事の範囲や選定業者などを把握の上、貸主側と必要な対応について話し合っておくことをおすすめします。
<実施時期の目安>
オフィス移転の1ヵ月前
<やることチェックリスト>
ここまでの工程に不備がなければ、引越はスムーズに進むはずです。ただし予期せぬトラブルは起きるものです。旧新オフィスともに、積み残しの有無や荷物搬入・搬出、物件の明け渡しなどを確認するための人員を配置しましょう。また、ワレモノや精密機器などを搬出する必要がある場合には、荷造りの際に注意を呼びかけます。
<やることチェックリスト>
オフィス移転が無事に完了したら、各種法務手続きが待っています。それぞれ提出制限日数が異なるため、一つひとつ確認してこなしていきましょう。
なお、ここに挙げた手続きは一例であり、業態によって必要な手続きは異なります。自社にとって必要な届出の詳細は顧問の弁護士や税理士など、専門家の意見を参考にしてください。
<実施時期の目安>
オフィス移転後(届け出によってリミットが違うことに注意する)
<やることチェックリスト>
滞りなく移転を終えられたら、最後に効果検証・改善を行います。「オフィス移転で目的としていたことは達成されているのか」「旧オフィスの課題は解消されているのか」を確認しましょう。検証方法としては、アンケートやヒアリングを活用した調査が挙げられます。
課題点が抽出されたら、改善方法を検討します。たとえば、デスクやチェア、パーティションなどの什器・オフィス家具を追加で購入したり、部分的に追加で工事を行ったりすることなどが考えられます。
<実施時期の目安>
オフィス移転後(所定のタイミングで実施)
<やることチェックリスト>
賃貸オフィスの移転においては、ここまで解説してきたように多くの工程・期間が必要となります。
一方、レンタルオフィスの場合は先述したように内装や設備が整っており、インフラ完備の場合は「レイアウトや設備の決定」「インフラ工事」などの工程を省くことが可能です。年々上がる電気代や水道光熱費などの固定費も削減できるため、コスト削減にも繋がります。
スピード感をもってオフィス移転を実現したい場合は、レンタルオフィスの利用をご検討ください。
以下の記事では、レンタルオフィスの選び方について解説しています。併せてご覧ください。
賃貸オフィスの移転に伴う工程は多岐にわたります。どのような工程をいつ、どのようなスケジュールで実施していくのか理解し、着実に進めていきましょう。
三井不動産の「ワークスタイリング 三井不動産の「ワークスタイリング」は、ニーズに応じて柔軟なサービスを提供します。機能面はもちろん、利便性も高く、企業のステータス向上につながる主要なエリアにレンタルオフィスを展開しているため、取引先へのアピールにつながります。さらに、上質なデザインを施したハイクオリティな空間には最新設備を完備しており、心地良く働くことができます。オフィスの住所を法人登記で利用することも可能です。
また、コミュニティサービスとして、会員同士の交流やリスキリングなどの各種イベントも開催しています。拠点によっては、土・日・祝日も利用できる箇所もあります。
ワークスタイリングは、全国約150か所で入居者を募集しています。レンタルオフィスの契約をご検討の際は、ぜひお気軽にお問合せください。

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