【2023年】働き方改革とは?アフターコロナの働き方と取り組みの背景

2019年に働き方改革関連法が改正されて以来、日本の労働環境は大きく変わりました。さらにコロナ禍の影響もあり、リモートワークの導入やペーパーレス化に取り組む企業も増えています。この記事では、働き方改革の概要や目標、企業が取り組む意義、コロナ禍が働き方に与えた影響などについて解説します。

働き方改革とは?

働き方改革とは?

働き方改革について考える前に、その背景にある少子高齢化の加速や労働力の減少について知っておきましょう。

1.1 【参考】少子高齢化と労働力の減少

少子高齢化と労働力の減少

日本の少子高齢化は、日本経済の将来を揺るがしかねない大きな問題となりつつあります。2020年時点、日本の総人口1億2,615万人のうち、15歳〜64歳の人口は7,509万人、65歳以上の人口は3,603万人となっています。

反面、厚生労働省の2023年5月の推計によると、2070年の65歳以上の人口は総人口8,700万人中3,367万人に達する一方、15歳〜64歳の人口は4,535万人に減少する見込みです。

労働力が減少すれば、労働者一人あたりの負担は増加し、高齢者になってからも働き続ける必要が生じます。

参照:厚生労働省 「将来推計人口(令和5年推計)の概要

1.2 働き方改革関連法とは?

上記のような労働力減少に対応するために実施されたのが、働き方改革関連法の施行です。
長時間労働の解消や労働人口減少の防止、生産性の向上などを目的に、2019年4月1日から順次施行されています。働く個人の事情に応じた柔軟な働き方を選択できるようにし、ワークライフバランスを実現することを目的としています。

参照:厚生労働省 「働き方改革の実現に向けて

働き方改革の課題と目標

働き方改革で解消を目指している課題や目標は、主に以下の3つです。

2.1 労働人口不足の解消

労働人口不足の解消

前述のとおり、日本では将来、15歳〜64歳の労働人口が減少すると見込まれています。労働人口が減少すれば、日本全体の経済に悪影響を与えかねません。この状況に対応するためには、現役世代の人口を増やすだけでなく、65歳以上になっても働き続けられる環境の整備が必要です。

2.2 長時間労働の是正

長時間労働は、日本の多くの企業で長く問題視されてきました。働き方改革関連法施行の影響もあり、現在の労働時間は数値だけを見ると改善されているような印象があります。具体的には、2018年までは年間の総実労働時間が1,700時間を超えていましたが、2021年時点では1,633時間に減少しています。

しかしこの数値は、労働時間の少ないパートタイムの比率が上昇したことに影響されたものです。パートタイム以外の労働時間は2,000時間前後と横ばいが続いており、あまり改善されていません。

諸外国と比較しても日本の労働時間は長い傾向にあります。2020年度のOECDの調査では、男性の有償労働(市場に労働力を提供して対価を得る働き方)の国際平均が1日あたり317分/日であるのに対し、日本では452分となっています。

労働人口の減少にともない、今後はさらに特定の労働者に負担が偏ることが予想されます。

参照:厚生労働省 「労働時間制度の現状等について
男女共同参画局「生活時間の国際比較

2.3 正社員と非正規社員の格差の是正

働き方改革では、正社員と非正規社員の格差是正に向けた取り組みも推進されており、「同一労働同一賃金」の考えをもとにした施策が実施されています。
同一労働同一賃金とは、企業内で同一の仕事をしていれば雇用形態に関わらず同一の賃金を支給すべきとする考え方です。昇給・賞与・各種手当・教育訓練・福利厚生などの理不尽な待遇差の解消も目的としています。

参照:厚生労働省 「同一労働同一賃金ガイドラインの概要①

企業が働き方改革に取り組む意義

次に、企業が働き方改革に取り組む意義についてチェックしていきましょう。

3.1 罰則付きの対応義務が課されている

罰則付きの対応義務

働き方改革では、時間外労働の上限規制が設けられています。原則として⽉45時間・年360時間と上限が定められており、これが守られなければ6ヵ月以下の懲役または30万円以下の罰⾦が課されます。 2019年以前も上限規制自体は設けられていましたが、罰則による強制力はありませんでした。その点からも、政府として強く労働環境の改善を推進していることがわかります。

参照:厚生労働省 「時間外労働の上限規制わかりやすい解説

3.2 社員の離職率を下げられる

人手不足を実感している企業の割合は、年々増加傾向にあります。2022年の帝国データバンクによる調査では、正社員の人手不足を実感している企業の割合は、全体の51.1%。2020年4月以降で最も多くなりました。

こうした人手不足を解消するためには、新規採用だけでなく、離職率を下げて社員に長く在籍してもらうことも重要です。働き方改革の推進により快適な労働環境が整備されれば、離職率の低下が期待できます。

参照:厚生労働省 「我が国を取り巻く人手不足等の現状

3.3 優秀な人材の採用に有利になる

社員の事情に合わせた柔軟な働き方を推進している企業は、求職者から見ても魅力的です。魅力ある企業は幅広い人材から選ばれやすくなるため、優秀な人物からの応募も期待できるでしょう。

3.4 人的資本経営による業務の効率化と生産性の向上につながる

人的資本経営とは、社員を会社の資本としてとらえることで長期的に企業価値を高める経営の在り方です。社員に対する投資や教育をおこない、能力の底上げを図れば、業務効率化や生産性向上が実現し、最終的な業績アップも期待できます。この人的資本を考えるうえでも、働き方改革は重要な取り組みとなります。

コロナ禍に生じた働き方の変化

2020年から広まった新型コロナウイルスの感染拡大も、働き方に以下のような変化を与えました。

4.1 リモートワークの普及と課題

リモートワークのイメージ

コロナ禍のビジネスシーンで普及したものとしては、やはりリモートワークが代表的です。感染拡大防止の観点から、人との接触を避けるため、多くの企業で従来の出社体系が見直されました。 2023年5月に東京都が発表したデータによると、都内企業のリモートワーク普及率は46.7%。全体の半数近い企業で働き方に変化が生じたことになります。

ただし、同じ調査では、2021年8月のリモートワーク普及率が65%に到達しており、数値的には下落傾向です。
リモートワークを継続できない理由としては、コミュニケーションコストの増大、社外からアクセスできないシステムの存在などが挙げられています。リモートワークでは長年続いた慣習を変える必要があるため、浸透には時間がかかる場合があります。

参照:東京都 「テレワーク実施率調査結果をお知らせします!

4.2 働き方の多様化

リモートワークも含め、コロナ禍以降はさまざまな働き方が模索されてきました。ワークライフバランスの確保やダブルワークなど、労働者個人の希望に合わせた働き方を選択しやすくなったことは大きな変化です。

働き方を模索できるようになった要因として挙げられるのは、時間の自由化です。リモートワークでは通勤時間などを削れるため、自分の時間を捻出しやすくなります。捻出した時間を仕事や子育てなど個人の選択肢に合わせた行動に充てることで、より柔軟な働き方が実現するようになりました。

「ニューノーマルとは?新しい働き方と背景、今後の課題について解説」を読む ▶︎

4.3 ペーパーレス化やオンライン対応の促進

リモートワークの実施にともない、ペーパーレス化やオンライン対応も促進されました。東京都の2023年3月の報告では、2016年度比でコピー用紙調達枚数72%減、2019年度比でFAX件数99.1%減などの改革を実現しています。

一方、こうした改革を阻害する要因として、書類への押印作業が挙げられます。事実、同じ東京都の2023年3月の報告では、行政手続きの押印廃止は半数も進んでおらず、今後の働き方改革推進で大きな課題となるでしょう。

参照:東京都 「都政の構造改革ポータルサイト

4.4 オフィスのあり方の見直し

リモートワークの推進によって出社人数が減少したことで、オフィスの在り方も見直されました。内閣府の調査によると、都内のオフィス空室率は2020年の1.49%から10ヵ月連続で上昇。解約理由として、テレワークによる必要面積の減少を挙げる企業も存在しました。
情勢が落ち着きオフィスへの出社を再開する企業も増えてはいますが、レンタルオフィスやシェアオフィスの活用も含め、賃貸オフィスの在り方は大きく変化しています。

参照:内閣府 「最近の都内オフィス空室率の動向

4.5 評価基準の見直し

従来の日本企業では、メンバーシップ型による雇用が主流でした。メンバーシップ型とは、社員に対して均等にスキルを分担し成長を促す働き方のことです。多くの部署を経験させて長期的に能力を育成できるため、終身雇用が前提の日本企業と好相性でした。

しかし、リモートワークの拡大によって個人の勤務態度や仕事への取り組みが見えにくくなったことで、ジョブ型雇用を採用する企業も増えてきました。ジョブ型とは、仕事の内容に応じて社員を割り当てる考え方のことです。仕事の過程ではなく具体的な成果を基準にして社員を評価します。厚生労働省の調査では、約6割近い企業が導入済み、あるいは導入予定となっています。

参照:厚生労働省 「経済社会構造の変化と新しい時代の働き方

4.6 リスキリング

リスキリングとは、社員に対して新しい仕事に対応するためのスキルを身につけることです。社員に対するリスキリング促進の動きは高まっており、帝国データバンクの調査でも、2022年11月時点でリスキリングに取り組んでいる企業の割合は48.1%となりました。特にDX推進企業では81.8%がリスキリングに関する制度を導入しています。

リスキリングでは、自社で学びの場を提供するだけでなく、外部サービスの活用も検討できます。ワークスタイリングでも、会員企業様の社員のリスキリングを促進するためイベントやセミナーを開催しています。チームビルディングやマネーリテラシーなど、幅広いテーマでイベントを開催しています。

参照:帝国データバンク 「DX推進レベルでリスキリング取組状況にギャップ

ワークスタイリングのイベント情報について詳しく見る ▶︎

4.7 健康経営の意識

日本は高齢化社会に突入しており、一生のうちで働く期間も今後ますます伸びていくことが考えられます。しかし、長く働き続けるためには、各個人が健康を維持・促進し、経済活動に参画できる体づくりが必要となります。そこで注目されているのが「健康経営」です。

健康経営とは、企業が社員の健康に配慮した取り組みを実施することです。社員の健康が守られれば、仕事へのモチベーションや業務効率が改善され、最終的には企業価値の向上や業績の改善につながります。

参照:経済産業省 「健康経営

今後の働き方における課題と展望

今後の働き方における課題と展望

ここまで解説してきたとおり、働き方改革にコロナ禍が重なったこともあり、リモートワークやペーパーレス化、オフィスの在り方など、さまざまな面で変化が起きています。社員から見れば、自宅にいながら時間を有効的に使って働けることは負担軽減につながりますし、ワークライフバランスの実現にも大きく貢献するものでしょう。

しかし、今までの働き方を変えるのは簡単なことではありません。実際、コロナ禍が落ち着いたことで出社を再開する企業も増えつつあります。
今後は、出社とリモートワークを組み合わせたハイブリットワークなども視野に入れつつ、自社にとって最良の働き方を柔軟に取り入れることが重要となるでしょう。
ハイブリッドワークについては、以下の記事で詳しく解説しています。併せてご覧ください。

「ハイブリッドワークとは?メリットとデメリット、導入時の課題を解説」を読む ▶︎

「オフィス」から考える働き方改革

さまざまな働き方を模索するなかで避けて通れないのは、オフィスの在り方を考えることです。

リモートワークの導入では、従来のスタイルであった賃貸オフィスの契約は必須とはなりません。出社人数に対して大きすぎるオフィスでは賃料の負担も膨らみます。賃貸オフィスの契約をやめ、削減したコストを働き方改革のために費やせば、社員の満足度を高めながら効率化や生産性の向上を図れるでしょう。

そうしたオフィスの在り方を実現するのが、レンタルオフィスやシェアオフィスの存在です。ワークスタイリングFLEXは、都心の主要ビジネスエリアにレンタルオフィスを展開しています。大小さまざまな占有オフィスを備えており、ビジネスの成長に合わせた柔軟な活用が可能です。また「人的資本経営」の観点から、企業の大切な資本である人材を長期的な視点で支えるさまざまな施策を展開してきた経験を活かし、利用される企業様に満足いただけるサービスを幅広くご提供しています。

時代のニーズに合ったオフィスのスタイルを取り入れ働き方改革を実現したいなら、ぜひワークスタイリングFLEXの活用をご検討ください。

まとめ

働き方改革の推進は、離職率の低下や優秀な人材の採用など、企業にさまざまなメリットをもたらします。コロナ禍によってリモートワークが導入されオフィスの在り方なども見直されるなか、レンタルオフィスやシェアオフィスの活用も視野に入れた柔軟なオフィス空間の確保が重要となります。

ワークスタイリングFLEXは、自社のニーズに合わせて柔軟に活用できるレンタルオフィスです。1ヵ月から利用でき、本社オフィスとして使うことも、プロジェクト単位で活用することも可能です。通信インフラやオフィス家具も備わっており、初期費用も最低限に抑えられます。
オフィスから働き方改革を進めたい際は、ぜひお気軽にお問い合わせください。

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