ビジネスの効率化や生産性向上を目指す企業にとって「ワークスタイル変革」は欠かせないキーワード。デジタルツールの普及や柔軟な働き方が浸透する中で、オフィスに縛られない業務体制やフレキシブルなワークスタイルを取り入れる企業が増えている傾向にあります。本記事では、ワークスタイル変革がもたらすメリットを解説し、取り組み方やポイント、導入事例を紹介します。
「ワークスタイル」とは、個々の社員がどのような環境や条件で働くかというスタイルを指します。
この言葉には、勤務時間や勤務地、勤務形態、使用するツールや設備、業務の進め方など、多岐にわたる要素が含まれる言葉です。
また、ワークスタイルは「働き方」「労働形態」などの言葉にも言い換えできます。
「ワークスタイル変革」とは、社員の働き方を根本的に見直し、より効率的で柔軟な働き方を実現するための取り組みです。
これには、テクノロジーの活用やオフィスの環境改善、フレックスタイム制度やリモートワークの導入といった具体的な手段が含まれます。
企業はこうした変革を通じて、社員が多様な働き方を選べるようサポートし、生産性の向上や社員の働きやすい環境に整えることを目指しています。
ワークスタイル変革が広がる背景には、デジタル技術の進化やグローバル化が挙げられます。
多様な人材の確保が必要とされる現代では、社員が柔軟に働ける環境を整えることが企業競争力の向上に直結するでしょう。
主なワークスタイルの種類と特徴を解説します。
● リモートワーク(在宅勤務)
● フレックスタイム
● フリーアドレス
● ホットデスク
リモートワーク(在宅勤務)
「リモートワーク(在宅勤務)」とは、オフィスに出社せず、自宅やその他の場所から仕事を行うワークスタイルです。出社を必要としないため、通勤時間の削減や自律的な時間管理が可能になるメリットがあります。
フレックスタイム
「フレックスタイム」とは、始業や終業の時間を個人で調整できる制度です。社員によって集中できる時間に個人差があるため、自身のパフォーマンスが発揮される時間に働けるメリットがあります。
フリーアドレス
「フリーアドレス」とは、オフィス内で固定席を設けず、その日の業務に応じて好きな席で働ける制度です。このワークスタイルにより、オフィススペースの効率的な活用が可能になります。
ホットデスク
「ホットデスク」とは、同じデスクを異なる人が異なる時間で使用する共有性のワークスタイルです。不動産リスクを軽減したスペースの効率化とチーム間の交流促進に役立ちます。
ワークスタイル変革には、企業と社員双方にとって多くのメリットが存在します。
● 業務効率化や生産性の向上につながる
● コストの削減につながる
● 社員の満足度と定着率の向上につながる
● 企業の柔軟性が向上し事業の継続維持につながる
リモートワークやフレックスタイムなど柔軟な働き方を導入することで、社員は自律的かつ効率的に働けます。
通勤時間の削減や集中力の高まる時間帯に合わせて業務を行えるため、業務が効率化し、結果的に生産性の向上にもつながるでしょう。
オフィスを維持するには、賃料や光熱費などさまざまな費用が発生しますが、柔軟なワークスタイルを提供することで、これらのコスト削減が可能です。
リモートワークやフリーアドレスを導入することで、固定費が抑制され、さらには通勤費の削減も期待でき、企業全体のコスト抑制に貢献します。
ワークライフバランスを考慮した働き方が実現することで、社員の満足度が向上し、結果的に定着率の向上が期待できます。
とくに育児や介護との両立が求められる社員にとっては、柔軟な働き方の提供は働きやすさにつながるでしょう。
ワークスタイルの変革は、予期せぬ災害や緊急事態にも対応しやすくなるため、企業のリスク管理能力が向上し、事業の継続維持につながるでしょう。
また、多様な人材が活躍できる環境を整えることで、企業の競争力強化にも寄与します。
ワークスタイル変革を効果的に進めるには、組織全体の理解と計画的な取り組みが必要です。具体的な方法を以下で詳しく説明します。
● 経営層の理解とサポートを得る
● 業務フローや社内制度の見直し
● さまざまな雇用形態を追加
● ICTツールの活用
● クラウドサービスとスマートデバイスの導入
● オフィスの環境を改善
ワークスタイル変革に取り組むには、経営層の理解と支援が必要になるでしょう。
経営陣が改革の意義を理解し、社員に対するメッセージを明確にすることで、全社的なサポートが得られやすくなります。
新しい働き方をサポートするためには、業務フローや社内の評価制度の見直しが必要です。
急なワークスタイルの変革をしてしまうと、最初の段階は企業や社員が環境に慣れず、逆に業務効率の低下になるおそれがあります。
社員が個別に働く場所や時間を選べるようにしながらも、生産性を高められるような制度をしっかり構築しましょう。
「正社員」や「アルバイト」のみならず「パートタイム」や「業務委託」など、従来とは異なる雇用形態を導入してみましょう。
これにより、多様な社員のニーズに応じた柔軟な対応が可能になるだけでなく、雇用形態が複数ある働きやすい企業になるでしょう。
ICTとは「Information and Communication Technology」の略で、通信技術を活用した製品やサービスのことです。
オンライン会議システムやプロジェクト管理ツールが該当され、これらを活用することで、物理的な距離を感じさせない効率的なコミュニケーションが実現します。
これにより、オフィス出社を必要としないリモートワークでも効果的な業務遂行が可能です。
クラウド上でのデータ管理やアクセスを実現することで、社員は時間や場所に縛られることなく必要な情報にアクセスできます。
また、スマートデバイスを導入することで、出先や隙間時間などでも対応でき、効率的に働けるでしょう。
オフィスの環境を見直しや働きやすい空間を整備する「オフィス改革」は、ワークスタイル変革において重要な施策の1つです。
昨今、リモートワークの普及やハイブリッドワークの進展により、オフィスの役割が大きく変化しています。オフィスを「ただ働く場所」から「社員が集まりたい場所」へと再構築することは、企業の目指す働き方の実現と社員のモチベーション向上につながるでしょう。
以下は、具体的な改善方法です。
● フリーアドレス運用の導入
● ABW型ワークスタイルの導入
● オフィスレイアウトの見直し
● リフレッシュスペースの設置
● ミーティングエリアの設置
● ペーパーレス化の推進
フリーアドレス運用の導入
「フリーアドレス」とは、固定席をなくし、社員が自分の働きやすい場所を自由に選んで作業できるシステムです。これにより、執務スペースの効率化とコミュニケーションの活性化が図れるでしょう。
社員が席を選べることで、他部署との交流が増え、社内の連携が強化されるメリットもあります。
ABW型ワークスタイルの導入
「ABW(Activity Based Working)」型のワークスタイルとは、業務内容や気分に応じてオフィスや自宅、カフェなど働く場所を柔軟に選べるシステムです。
業務の種類やその日の体調に合わせた働き方ができるため、生産性の向上が期待できます。
オフィスレイアウトの見直し
オフィスのレイアウトは、現代の働き方に合わせて柔軟に対応して、都度見直す必要があります。
たとえば、ハイブリッドワークに対応するための個室ブースや、社員同士の対話を促進するコミュニケーションエリアを設置することで、リアルでの交流機会が増え、チームワークの向上が見込めます。
また、レイアウト見直しの際には、社員からのヒアリングを行い、現場のニーズを反映することが大切です。
リフレッシュスペースの設置
社員が休憩や気分転換に使えるリフレッシュスペースを設けることで、生産性や社員満足度の向上につながるでしょう。
とくに、ラウンジやカフェエリアは、オンとオフの切り替えに適した場所であり、社員同士がリラックスして交流できる空間としても機能します。ミーティングや個人作業にも対応できる多目的スペースにすることで、幅広く活用可能です。
ミーティングエリアの設置
効率的な会議を実現するためには、気軽に利用できるミーティングスペースを設置しましょう。
会議室が常に満室で予約が取りにくい状態を防ぐため、小規模でオープンな打ち合わせスペースを複数設けると、必要なときにすぐ話し合いが始められます。また、ホワイトボードや大型スクリーンを設置し、よりアイデアを共有しやすい環境を整えるのも効果的です。
ペーパーレス化の推進
ペーパーレス化は、オフィスのスペース効率と資料管理の効率化につながります。
書類を電子化しクラウドで管理することで、必要な資料に場所を問わずアクセスでき、業務のスピードアップやコスト削減が図れるでしょう。
また、ペーパーレス化は、テレワークやABWの推進とも相性がよく、社員が多様な働き方に対応できる柔軟性を提供します。
ワークスタイル変革の導入には、慎重な計画と段階的なアプローチが必要です。以下の手順に従うことで、企業の目指すワークスタイル変革を効果的に推進できます。
1. 現状分析と課題の特定
2. 目的設定とロードマップ作成
3. 試験的な導入とフィードバック収集
4. フル導入と継続的な改善
5. 必要なICT技術の導入
6. 効果検証と改善
まずは、社員のニーズや現在の業務環境を徹底的に分析し、課題を明確化しましょう。
現状分析により、変革の必要性や改善すべき具体的なポイントが浮き彫りになります。たとえば、業務効率の向上やコスト削減を目指す場合、従業員の生産性を阻害する要因や、不要なリソースの確認が必要です。
次に、ワークスタイル変革の目的を明確にし、具体的な実行プランを策定します。
目的が曖昧なままでは、施策の効果が薄れる可能性があるため、達成したい目標を数値化しましょう。
たとえば「残業時間を10%削減」「有給休暇取得率を20%増加」などの具体的な指標を設定します。また、目標達成に向けたロードマップを作成し、中長期的な視点でゴールを設定することが効果的です。
ロードマップに沿って一部の部署やプロジェクトで試験的にワークスタイル変革を導入し、社員からのフィードバックを収集します。
この段階では、社員と密にコミュニケーションをとり、現場の声や改善案を反映させながら、施策の有効性を検証していきましょう。
アンケートや対面でのヒアリングを通じて現場の意見を吸い上げ、目的やメリットについても社員に共有することで、ワークスタイル変革に対する理解と賛同を得やすくなります。
フィードバックをもとに、必要な修正を加えたうえで導入を進めましょう。
また、導入後も社員の意見を定期的に反映しながら継続的な改善を行うことで、自社に合ったワークスタイルを作り上げることが可能です。
リモートワーク用のWeb会議システムやチャットツール、オンラインストレージ、勤怠管理システムなど、業務効率化に寄与するツールを導入します。
ツール導入の際は、社員が適切に使えるよう研修や勉強会を実施し、ツール導入の意義や活用方法を丁寧に説明することが大切です。また、サポート体制の整備や相談窓口の設置も効果的でしょう。
全社導入後も定期的に効果を検証し、目的達成度や施策の有効性を評価しましょう。
効果検証は、継続的な改善のための重要なステップであり、時流に合わせて柔軟に対応できる体制を整えることが望ましいです。
また、フィードバックに基づいた改善を行うことで、より適したワークスタイル変革の実現が可能となります。
このような段階的なアプローチを取ることで、ワークスタイル変革の導入を円滑に進め、持続可能な業務改善を実現します。
ワークスタイル変革を実現させるためには、働き方やコミュニケーションの在り方を見直し、社員が快適に働ける環境を整えることが重要です。
以下のポイントを意識して円滑な変革を目指しましょう。
● 社内コミュニケーションの強化
● スケジュールの「見える化」を徹底
● 社内ネットワークのセキュリティ対策を強固にする
リモートワークや時短業務を導入する場合、社員同士のコミュニケーションがさらにスムーズに取れるように工夫が必要です。
たとえば、定期的なオンラインミーティングを行い、業務に関する情報共有や日常的な雑談の場を設けることで、チームの一体感を高めます。
とくに、リーダーや管理職は積極的に部下とコミュニケーションを取り、進捗状況や課題について相談しやすい空間を作ることが大切です。また、チャットツールや社内SNSを活用して、離れた場所でも手軽にやり取りができる環境を整備しましょう。
チーム全体のスケジュールやプロジェクトの進行状況を可視化することで、メンバー間の協力がスムーズに行えるでしょう。
タスク管理ツールやカレンダー機能を活用し、業務の進捗や予定を共有することで、上司や同僚もメンバーの働きぶりを把握しやすくなります。
また、人事評価や育成においても、見える化されたスケジュールを参考にすることで、客観的な評価が可能。さらに、評価基準を事前に明確にしておくことで、社員の納得感や安心感が増し、業務に前向きに取り組めるでしょう。
リモートワークが増えると、社内ネットワークへの不正アクセスリスクも高まる可能性があります。
その際にVPNや二段階認証、データの暗号化など、セキュリティ対策を徹底して情報漏洩を防ぐことが重要です。さらに、端末の持ち出しや紛失時の対策も必要で、紛失時にリモートからデータ削除が可能な管理機能の導入も検討するとよいでしょう。
「ワークスタイリング」は、三井不動産が提供する法人向けのレンタル・シェアオフィスサービスです。時間や場所に縛られない自由な働き方を実現し、社員が快適に働ける環境を整えたいと考える企業にとって、理想的な選択肢となっています。
ワークスタイリングは、出張先やプロジェクト単位での利用はもちろん、本社や分散オフィスの一環としても柔軟に活用可能。
全国550拠点以上(※)のシェアオフィスを有し、オフィス環境やスケジュールに応じて、会議室や個室、オープンスペースを効率的に利用できます。
ほかにも、集中して働ける個室やミーティングルームが充実しており、リラックスできるカフェブースも用意。これにより、社員は快適な環境で効率的に業務に集中でき、仕事への満足度も向上します。
ワークスタイリング FLEX
「ワークスタイリング FLEX」は、月ごとに席単位で柔軟に利用できる専有オフィスプランです。
新宿や六本木、汐留などの都心を中心に展開されており、本社オフィスやプロジェクト単位の利用が可能。また、短期間のプロジェクトや新規立ち上げ、リモートワークの補完としても活用できます。
ワークスタイリング BASE
「ワークスタイリングBASE」は、スタートアップ企業やフリーランスに適したシェアオフィスプランです。
東京ミッドタウンや東京の主要都市にあるビルを拠点に構え、契約拠点のワークスタイリング オープンスペースを無料で利用可能。
また、必要に応じてほかのワークスタイリングも利用できる(※)のもうれしいポイントです。
※別途費用が発生します。
ワークスタイリング SHARE
「ワークスタイリングSHARE」は、全国に広がるサテライトオフィスネットワークで、10分単位からの利用が可能なシェアオフィスプランです。
主要都市から地方都市まで、駅近に拠点があり、どこでも利用しやすいのが特徴。出張先や外出時、アイデア出しのための会議、クリエイティブな作業など多彩な場面で利用できます。
ワークスタイリングを利用した企業の導入事例を一部紹介します。ワークスタイリングの変革を検討している方は、ぜひ導入事例を参考にしてみてください。
● 株式会社NTTドコモ
● 株式会社野村総合研究所
● 資生堂ジャパン株式会社
年々、ワーク―スタイルは多様化しており、リモートワークやフリーアドレスなど、新しい制度を導入する企業も増えつつあります。
企業の将来を考え、業績を上げていくためには、社員一人ひとりの生産性を向上させ、そのためにはワークスタイルの変革が必要となるでしょう。
この機会に、事業やオフィス戦略を改めて見直し、ワークスタイル変革に取り組んで企業の成長を図ってみてください。
「すべてのワーカーに『幸せ』な働き方を。」をパーパスに掲げるシェアオフィス「ワークスタイリング」では、今後のサービス設計に活用するため、ご利用者の皆さまを対象に、ワークスタイリングの利用に関するアンケート調査を実施いたしました。
働きやすい職場環境を整備することで、生産性の向上や離職率の低下など、さまざまなメリットがあります。本記事では、働きやすい職場環境の特徴や具体的な施策をわかりやすくまとめました。職場環境を整えて、社員のパフォーマンスを向上させましょう!
小規模オフィスのレイアウトのポイントを徹底解説!小規模オフィスはレイアウトの自由度が高く、導入コストも抑えやすいところが特徴です。具体的なアイデアやよくある事例を知りたい方のために、おすすめのレイアウトもピックアップして紹介します。