タッチダウンオフィスとは?メリットと成功事例、検討ポイントを解説

働き方が多様化するとともに、オフィスのあり方も大きく変化しています。そうしたなか、新たなオフィス形態の一つとして注目されるのが「タッチダウンオフィス」です。

この記事では、近年注目を集めるタッチダウンオフィスとはどのようなものか、活用シーンや導入メリットと併せて解説します。

自席を作らないフリーアドレスを採るオフィスの様子

タッチダウンオフィスとは?

会議室ブースやコピー機も完備している理想的なサテライトオフィスの様子。電源の必要なパソコン作業や会議を行うことも可能。カフェテリアスペースも充実しており、カフェに立ち寄るよりも効率的に隙間時間を活用できる。

タッチダウンオフィスとは、外出や出張で普段のオフィスを離れている社員が一時的に仕事をするために利用するワークスペースのことを指します。
通常、外出先や出張先ではできる作業が限られますが、タッチダウンオフィスを利用すれば隙間時間の活用もでき、柔軟に業務をおこなえます。

そもそも「タッチダウン(touch down)」は英語で「(飛行機が)着陸する」ことを意味する言葉です。タッチダウンオフィスは、外出しているワーカーが一時的に「着陸」し、作業や準備を経て再度「離陸」するオフィスと考えればよいでしょう。

1.1 タッチダウンオフィスが注目される背景

近年タッチダウンオフィスが注目される背景には、働き方改革の推進や、テレワークの普及をはじめとする働き方の多様化があります。

働き方改革によって、労働時間や残業時間の削減が重要課題となっています。定められた労働時間のなかで業務を遂行するため、業務時間中の生産性を高めることがより重要視されるようになりました。
タッチダウンオフィスを活用すれば、外出時や出張時の移動時間やちょっとした隙間時間にも業務をこなせるようになり、働き方改革の推進につながります。

また、タッチダウンオフィスとして本来のオフィスとは別の働く場を社員へ提供すれば、社員の働き方の選択肢を広げることもできます。
このようにタッチダウンオフィスは、近年の働き方に関する課題を解消し、働きやすい環境を構築するのに役立っています。

1.2 社内にタッチダウンスペースを作るケースも

タッチダウンオフィスはメインとなるオフィスと別の拠点として設けるのが一般的ですが、中には社内にタッチダウンスペースを作るケースもみられます。
社内のタッチダウンスペースは、出張時の社員の作業スペースとなるほか、同じオフィス内で働く社員にもワークスペースの選択肢を与えることができるといったメリットがあります。

タッチダウンオフィスの活用シーン

最寄り駅や出先から立ち寄れる利便性の高いタッチダウンオフィスの様子。電源やコピー機や会議ブースも完備。テレワーク時のリフレッシュやオフィスワークの気分転換としても有効活用できる。

社員の一時的な作業スペースとして有効なタッチダウンオフィス。導入すると、具体的にどのような使い方ができるのでしょうか。考えられる3つの活用シーンをご紹介します。

2.1 外回りが多い社員の作業スペース

第一に、外回りが多い営業職の社員などにとってのメリットが大きいといえます。往訪先や移動のハブとなる駅の近くにタッチダウンオフィスがあれば、往訪前後の隙間時間を有効活用できます。その日の予定によってはメインオフィスに帰社する必要がなくなり、外回りが多い社員の労働環境改善にもつながります。

2.2 テレワーク時の仕事場所

タッチダウンオフィスは、テレワーク時の仕事場所としての活用も期待できます。 コロナ禍を経て普及が進んだテレワークですが、自宅で仕事をするのが難しい社員も一定数存在します。

具体的には「書斎やワークスペースがない」「子どもやペットがいて集中できない」「パソコンやプリンターなどの機材、Wi-Fiなどの通信環境が十分でない」などの理由が挙げられます。一方、通信環境が整っているカフェやオープンなコワーキングスペースで仕事をする場合はセキュリティ面で不安が残ります。

タッチダウンオフィスが社員の自宅の近くにあれば、充実した設備とセキュリティのもと、快適なテレワークが可能になります。出社とテレワークを両立させる「ハイブリッドワーク」を推進する場合も、効果的に活用できるでしょう。

ハイブリッドワークについては以下の記事でも解説しています。併せてご覧ください。
「ハイブリッドワークとは?メリットとデメリット、導入時の課題を解説」を読む ▶︎

2.3 出張中の業務拠点

タッチダウンオフィスは出張中の業務拠点としても活用可能です。出張先では拠点となる場所を確保するのが難しく、アポイントメントやミーティングの合間の過ごし方に困ることもあるのではないでしょうか。仕事ができるカフェやコワーキングスペースを探す場合も、見つけるまでに苦労するなど限られた業務時間を無駄に費やしてしまう場合があります。

全国展開しているサテライトオフィスを契約したり、社員が頻繁に出張するエリアにタッチダウンオフィスを設けておけば、出張先でも時間を有効活用できるようになり出張中の業務効率がアップします。

タッチダウンオフィスのメリット

自席を作らないフリーアドレスのオフィスの様子。会議室ブースやフリースペースでコミュニケーションを取っている様子。

さまざまなシーンでの活用が期待できるタッチダウンオフィス。ここまでに解説してきた活用法を踏まえて、どのようなメリットがあるのか見ていきましょう。

3.1 多様な働き方に対応できる

メインオフィス以外にタッチダウンオフィスを設けると、社員が業務内容やその日の予定に合わせて働く場所を自由に選べるようになり、働く場所の選択肢が広がります。
また、先述したように自宅で仕事をするのが難しい社員へのテレワークの機会の提供にもつながり、多様な働き方への対応が可能になります。採用活動におけるアピールポイントの強化や社員満足度の向上が期待できるでしょう。

3.2 時間を有効活用できる

オフィスと往訪先のほかにタッチダウンオフィスがあれば、「往訪先付近のタッチダウンオフィスで作業する」という働き方が可能になります。アポイントメント前後の隙間時間や帰社のための移動時間を業務にあてられるようになり、時間を有効に活用できるでしょう。
そして時間を有効活用して業務効率が上がれば、労働時間の短縮や残業削減につながり、社員の労働環境改善の効果も期待できます。

3.3 集中して仕事ができる

業務に対する集中力を高め、生産性を向上するうえでも、タッチダウンオフィスは効果的です。
オフィスや自宅などいつも同じ場所で仕事を続けていると、集中力が途切れてしまうことがあります。しかし、働く場所を変えれば気分がリフレッシュされ、業務により集中できるでしょう。「一人で集中するのに適したスペース」や「ミーティングに適したスペース」といったように選択肢が増えることも集中力アップにつながります。

3.4 コミュニケーションの機会が増える

タッチダウンオフィスの導入は、社員間のコミュニケーションの増加にも効果的です。
多くの場合、日常的にコミュニケーションする社員は一部に限られてきます。特にテレワークが主体の働き方だと、ほかの社員と交流する機会自体が少ない社員もいるでしょう。

タッチダウンオフィスでの勤務という第三の選択肢が増えることで別部署の社員との交流が生まれやすくなります。普段あまり交流のない社員同士のコミュニケーションを創出したい場合にも、タッチダウンオフィスの導入が有効です。

3.5 感染症や災害のリスクを分散できる

タッチダウンオフィスの導入によるメリットに、感染症や災害によるリスクの分散も挙げられます。
一つのオフィスに社員や機能が集中していると、コロナ禍のような感染症拡大や地震などの災害発生時に社員の出社や帰宅が困難になりかねません。人的リソースが十分に確保できず、事業継続そのものが難しくなるリスクがあります。
タッチダウンオフィスを設けて社員を分散配置すれば、緊急時でも一定の人的リソースを確保し、万が一の事態に対応できる可能性が高まります。

タッチダウンオフィスを導入する際の検討ポイント

情報漏洩を防ぐために専用ブースで会話しているビジネスマン。

ここからは、タッチダウンオフィスの導入にあたって検討すべきポイントを解説します。

4.1 オフィス利用に関する現状課題を洗い出す

まずは、オフィス利用に関する現状の課題を洗い出すことが大切です。タッチダウンオフィスには多くのメリットがあるものの、導入によって得られる効果の種類や大きさは企業によって異なります。
タッチダウンオフィスの導入によって自社の抱える課題を解決できるか見極める必要があるでしょう。同時に、タッチダウンオフィス導入によって達成する目標を定量的に設定することも重要です。

4.2 利用人数やシーンを整理する

どのくらいの規模のオフィス空間が必要なのかを検討するために、想定される利用人数を調べましょう。
すべての社員がタッチダウンオフィスを利用するとは限りません。利用意向のある社員が具体的にどれくらいいるのか、社員アンケートや社内データなどをもとに想定しましょう。

また、利用シーンの整理も重要です。利用シーンによって設置すべきエリアや整備すべき環境が異なるためです。
テレワークでの利用、外出時の一時利用、出張先での作業スペース確保など、想定される利用シーンをしっかりと整理し、自社で求められるタッチダウンオフィスの条件を明らかにしましょう。

4.3 設置するエリアを選定する

社員の利便性と整理した利用シーンをベースに、タッチダウンオフィスの設置エリアを選定します。
テレワークでの利用を想定するなら、社員が多く居住するエリアや社員がよく利用する乗り換えの駅、主要な取引先付近などに設置すると利便性が高いでしょう。

4.4 必要な備品やオフィス家具を確認する

想定される利用シーンに応じて、タッチダウンオフィスに必要な備品やオフィス家具を確認します。
例えばデスクやワークチェア、Wi-Fiなどの通信環境が必要になります。また、テレワーク利用では長時間滞在も想定されるため、コーヒーマシンや自動販売機、リフレッシュコーナーなども求められます。
想定される利用シーンに応じた備品や家具の設置により、スペースの利便性や快適性がアップし、社員の積極的な利用が期待できます。

4.5 セキュリティ対策を検討する

外部に設置するため、タッチダウンオフィスにもセキュリティ上のリスクが生じます。ミーティングの声が外部に漏れたり、業務用パソコンを置き忘れたりすれば、社外への情報漏洩につながりかねません。
オフィススペースのセキュリティ対策を万全にするとともに、タッチダウンオフィス利用上のセキュリティルールを策定し、社員への周知を徹底しましょう。

4.6 導入コストと釣り合うか検討する

外部にタッチダウンオフィスを設けるにはコストがかかります。何名程度の社員がどれくらいの頻度で使用するのか想定し、導入効果がコストに見合うかを検討する必要があります。

タッチダウンオフィスの導入事例

最後に、タッチダウンオフィスの導入事例をご紹介します。

タッチダウンオフィス導入事例:株式会社野村総合研究所 様 社内の会議室や個室ブースの不足時に一時的に利用。テレワーク時の気分転換としても活用できるメリット。

株式会社野村総合研究所様では、ワークスタイリング導入時には社員の気分転換として、コロナ禍においては在宅勤務の代替として利用いただいておりました。現在では特に社内の会議室や個室が足りないときのタッチダウンオフィスとして、ワークスタイリングを活用いただいており、社内の会議室需要の増減を吸収してくれる共有のスペースとして、ご好評いただいております。

また出張の際には、地方拠点のワークスタイリングの他、ホテル提携拠点のワークスタイリングをご利用されており、タッチダウンオフィスとして有効活用いただいております。

上記の事例は、以下のページで詳しくご紹介しています。併せてご覧ください。
「株式会社野村総合研究所」様の導入事例を見る ▶︎

まとめ

外出や出張、テレワークの際の一時的なワークスペースとして利用できるのがタッチダウンオフィスです。タッチダウンオフィスは、社員の多様な働き方や業務効率化の実現に貢献するとともに、緊急時のリスク分散にも効果を発揮します。
しかし、導入にあたっては、スペースの確保、設備・家具の設置、セキュリティシステムの採用など、多くの費用と手間がかかります。

こうした負担を少しでも軽くしたいなら、都内の主要オフィスエリアを中心に展開する法人向けサービスオフィス「ワークスタイリングFLEX」や全国約150拠点を構える多拠点型サテライトオフィス「ワークスタイリングSHARE/SOLO」の活用をおすすめします。ビジネスシーンに不可欠な設備や家具、万全なセキュリティを備えています。導入時のコストを抑え、迅速に導入することが可能です。

また、レンタルオフィスやシェアオフィスをタッチダウンオフィスとして活用することでも、無駄なコストや手間をかけることなくすぐに利用開始できます。
レンタルオフィスサービスである「ワークスタイリングFLEX」では、工事費・設備費・インフラ費用などすべてをまとめたオールインクルーシブ料金により、高いコストパフォーマンスを実現。全国約150拠点を構える多拠点型サテライトオフィス「ワークスタイリングSHARE/SOLO」が併用でき、働き方に関する多様なニーズに対応可能です。

新たな働き方を叶えるオフィスづくりの際は、ぜひ「ワークスタイリング」にご相談ください。

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