山田さんの仕事について教えてください。
我々は「一般財団法人 非営利組織評価センター」という団体を運営しています。現在日本には、NPO法人が5万団体以上、一般社団法人は約6万団体近くあります。日本のコンビニの数が約5万5千店舗ですので、それ以上に非営利組織は数が多いわけです。しかし、馴染みのない人にとっては「実態がよくわからない」というのが本音ではないでしょうか。そのために私たちは、組織の信頼性を評価・認証するという活動を行っています。また、非営利組織に対して情報発信の方法などをレクチャー・講義などもしています。

非営利組織の評価って、具体的にどのようなことをしているのですか?
評価の軸は大きく2つに分けて「事業評価」と「組織評価」があります。事業評価は成果・実績で計れるのですが、私たちがやっているのは「組織評価」です。その組織のガバナンスやコンプライアンスがしっかりしているかを評価します。具体的には、依頼をいただいた団体の拠点を訪問した上で、ヒアリングや書類などを審査して、信用に足る組織なのかを審査。そこで評価だけして終わりではなく、改善点もアドバイスしています。認証は3年ごとに更新し、定期的に組織評価を受けてもらうことで、信頼性の維持・向上に役立ててもらいます。評価という言葉を聞くと、ちょっと偉そうな印象を受けるかもしれませんが、私たちは「健康診断」と呼んでいます。
非営利組織が行う社会支援。現代における社会支援の状況について教えてください。
まず今はコロナ禍ということで、NPOなどは対面の活動が多いため、かなり活動が制限されています。例えば、これまでイベントを開いて寄付を募っていた団体などは、非常に動きが取りにくい状況です。ただ一方で、世の中を見ていると寄付などの社会支援は増えていると感じています。寄付って、自分の持っているお金をどこかの団体の口座等に振り込むようなイメージが強いですが、現代では様々な形態が増えているんです。例えば大手の企業などは、商品を購入すると売上の何%かを寄付する仕組みを導入する事例が増えています。だから、こうした商品を購入するだけでも寄付していることになるんです。今のはほんの一例ですが、こういった社会支援の輪がどんどん広がってきているので、希望を感じています。

ワクスタの会員さんと、どんな形で協働できるでしょうか?
現代では、企業に利益追求だけではなく、社会貢献性を求める風潮が強くなってきています。海外などでは社会貢献性が薄い企業は、投資家に敬遠されるといった話も耳にします。ですから企業が顧客を広げるためのアプローチやCSR活動として、信頼できるNPOを支援したり、一緒に何か活動するというのはすごく良いことだと思います。ただやはり、企業側からすると、どんなNPOがあるのか、そのNPOの信頼性が重要になってくると思いますので、そこで私が相談にのったり、橋渡しすることが可能です。何か社会貢献につながることをやりたいけれど、具体的にどう動けば良いのかわからないという方は、お気軽にご相談ください。

プロフィール
山田 泰久
NPO、社会課題、寄付、非営利組織
公益財団法人日本非営利組織評価センター 業務執行理事