THEME EXPERT テーマエキスパート

テーマエキスパート インタビュー

世界中の国々で取り組まれている持続可能な社会を目指す国際目標「SDGs」。しかし「具体的に何に取り組めば良いかわからない」という企業や経営者の方々も多いと思います。今回お話を伺うのは、サステナビリティ・サーキュラーエコノミー(循環経済)をテーマに、新規事業・サービス開発を専門とする加藤佑さん。加藤さんのお話がサステナビリティへの取り組みのヒントになるかもしれません。

加藤さんのされているお仕事について教えてください。

弊社には大きく分けて2つの事業があります。1つはサステナビリティに関わるメディアの運営事業。もう1つは企業や自治体に向けたサステナビリティに関する支援事業です。
メディアの運営事業については「IDEAS FOR GOOD」というオンラインマガジンを展開しており、社会問題の解決につながる創造的なアイデアを世界中から集めて配信しています。この他にも「Circular Economy Hub」というプラットフォームで会員制のコミュニティも運営しています。
企業・自治体向けの支援事業においては「脱炭素」「サステナビリティ」「循環経済」といったテーマで、企業・自治体の新しい方向性を創造していくお手伝いをさせていただいています。例えば、クライアントの社員の皆様と一緒にワークショップや勉強会を開いたり、戦略の策定や事業づくりなどにも参加させていただいています。

■IDEAS FOR GOOD
https://ideasforgood.jp/ 

■Circular Economy Hub
https://cehub.jp/

サステナビリティという観点から視た、現在の日本の状況について教えてください。

一昔前は、事業とサステナビリティを別物として分けて考える風潮が強かったと思うのですが、最近は事業とサステナビリティを一緒に考える企業が増えてきているように感じています。また生活者の意識も環境を意識したものに変化しつつあると思います。例えば、エコバッグや水筒などを普段から持ち歩く人はずいぶん多くなりましたよね。しかし、まだまだ課題は多いと感じます。例えば利益とサステナビリティを両立する難しさは多くの方が感じられているのではないでしょうか。また、大企業の場合、経営陣がサステナビリティの大切さを理解して何かを始めようとしても、営業目標に追われる現場のスタッフの方々の意識がそこまで追い付かないというケースもあります。一方で中小企業などは社内の意思疎通が早いと感じます。地域のために素晴らしい活動をされている事業者さんもたくさんいらっしゃるのですが、大企業のようにはアピールをしていないため、活動自体が世の中に知られていないというケースも多いです。このように課題もありますが、日本全体でサステナビリティへの関心が高まっているのは良い傾向だと捉えています。

加藤さんが仕事において大切にしていることを教えてください。

これは私自身もそうですし、弊社のスタッフにも日頃から伝えているのですが「自分の好きなこと」に取り組むことです。継続的に何かに取り組むことを考えると、その人が好きなことでなければと続かないと思うんです。もちろん私はサステナビリティについて考えたり学ぶことが好きだからこの仕事をしているのですが、サステナビリティに興味がある人はかなり少数だと思うんです。ただ、誰しもそれぞれ好きなことはあると思います。例えば、サッカーが好きな人なら友人とチャリティマッチを企画してみたり、コートの人工芝がマイクロプラスチックの問題につながるなら、プラスチックの問題に取り組むのも良いと思います。このように自分の好きなことを通じて世の中をより良くできる社会になっていくと素晴らしいなと思います。

加藤さんが環境問題に興味を持つようになったきっかけについて教えてください。

小学生5年生の担任の先生が環境問題にすごく熱心に取り組まれている方でした。当時、私が住んでいたのは横浜の東戸塚というエリアで、現在ではかなり発展しているのですが、当時はまさに開発の真っ最中。子どもたちの虫取りの遊び場だった自然豊かな雑木林が次々と伐採されてマンションが次々と建設され、川も汚染されるなど、街の景色がどんどん変わっていく時代でした。小学校も保全活動に協力的で、例えばカラスの巣ができたからそれを守るために通学路を変更するといったことからはじまり、自然が減って姿を消した野鳥がまた戻ってきてくれるようにバードウォッチング部をつくったり学校の中にビオトープをつくったり、川の水質浄化に取り組んだりと本当に様々な保全活動を行っていました。当時小学生だった我々も、自然がなくなると川で釣りをしたり森の中を探検したりといった楽しみが減ってしまうので、自然がなくなるのは良くないなと実感していました。おそらく当時のクラスメイトは、今でも環境保全について私と同じような想いを持っていると思います。この小学校での経験は私の中でもかなり強い原体験として残っていますね。

ワクスタの会員の方と、どのような協業ができそうですか?

私たちは中小企業から大企業まで多種多様な企業の支援をさせていただいています。商品・サービス・事業の開発から人材育成、コンサルティングやプロジェクトの戦略面でのサポートなど、それぞれのお客様のニーズに合わせたソリューションを提案しています。ある企業では数ヶ月のサステナビリティ研修プログラムをコーディネートしたり、地域のものづくり企業様の依頼でサステナビリティに特化した拠点づくりをサポートさせていただいたこともあります。
実はワークスタイリングでやってみたいことがあるんです。ここは様々な企業の方が集まる場所ですので、サステナビリティに関する様々な実証実験ができる拠点になったらすごく面白いと思うんです。例えば、自社の廃棄物を削減したい企業の方がいたら、まずはワクスタの中で小さくテストしてみて、会員の方の声を集めたりしながらアイデアをブラッシュアップし、自社に持ち帰る・・・みたいなことができたらすごく素敵な場になると考えています。

 

プロフィール

加藤 佑

サステナビリティ、 サーキュラーエコノミー

ハーチ株式会社
代表取締役 /
IDEAS FOR GOOD
創刊者

TE 加藤 佑さんの一問一答コーナー

最近、嬉しかったことはなんですか?
先日、伊勢志摩に行ってきました。真珠養殖に関わる事業者の皆さんが養殖の加工場をリノベーションして宿泊施設にするというプロジェクトをされているのですが、そこでお昼にバーベキューをやっていただいたんです。目の前の海で養殖している二枚貝をその場で備長炭で焼いて食べたのですが、それが美味しすぎました。思わず美味しすぎて食べすぎましたね。あれは最高でした。
ふだんから習慣にしていることはなんですか?
私は自分の興味のある環境や社会問題を仕事にしていますので、その勉強をするのはすごく楽しいです。自分の好きなことについて勉強することが習慣になっていますね。最近はオンラインの学習が充実しているので、海外の大学のセミナーや講義などで学習しています。オススメは1週間や数ヶ月程度のショートプログラムです。非常に数も多いですし、ビギナーでも受けやすいコースがたくさんあるので、自分の興味のあることを勉強してみると楽しいと思います。
いま楽しみにしていることはなんですか?
今度、ブラジルのアマゾンに行くのですが、それがすごく楽しみですね。南米は初めてですが、自分が今まで行ったことのない場所に行くのはすごく刺激的です。今回は研究者の方々のチームに同行させていただき、アマゾンで森林農法によりカカオを栽培している方々を訪問する予定です。実は数年前に行く予定だったのですが、飛行機のチケットを取って「いざ出発」というタイミングで、コロナが広まってしまい泣く泣くキャンセル。直前だったのでキャンセル料も支払わなくてはならず、手痛い出費でした。悔しい想いをしたぶん、今回はすごく楽しんでこようと思っています。

加藤 佑さんから
会員の皆さんへのメッセージ

ワークスタイリング SHARE/SOLO(サテライトオフィス)

FLEX併設
首都圏
京阪神
全国
SOLO
提携拠点
&BIZ conference(会議室)

[※] 土日祝日営業拠点