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テーマエキスパート インタビュー

近年、オープンイノベーションの流行と共に起業家を目指す若者や優秀な社会人が起業する例が増えています。今回インタビューさせていただいたのは、組織の異端児やはみ出し者にシード投資を行うベンチャーキャピタル「HAKOBUNE」代表取締役の栗島さん。栗島さんご自身の取り組みをはじめ、起業家が増加した背景や起業家に向いている人など、様々な角度から起業にまつわるお話を伺いました。

栗島さんのされているお仕事について教えてください。

私が代表を務める「HAKOBUNE」は独立系のベンチャーキャピタルです。スタートアップ企業に投資をしてIPO(新規株式公開)まで伴走者として支援をしていくといった事業をしております。2023年現在の投資先は約15社ほどありまして、主に「シード」「プレシード」と呼ばれる創業前後の方々に投資をさせていただいております。

「HAKOBUNE」について書かれた記事などで「大人起業家」を中心に投資をされているというワードを目にしたのですが「大人起業家」とは、どういった起業家なのでしょうか?

「大人起業家」は弊社でつくった言葉なのですが、まず定義として起業家の年齢で「大人」と呼んでいるわけではありません。その方の戦い方などが「大人」であると判断した方に投資をさせております。具体例を挙げますと、ある領域に対する知見をしっかり持っていて、構造を理解して、試行錯誤できる方を指しています。だから年齢は関係ないですね。

栗島さんはどのようにして投資する起業家を見極めているのでしょうか?

実際にその方とお話をして、それまで試行錯誤してきた過程をヒアリングすると、その方のことがよくわかります。例えば「なぜその着想が生まれたのか?」などは、その方の過去や経歴などを聞くとあらゆるところにヒントが転がっています。そして、その方の活動について事実を複数集めていくと「おそらくこの方は、こういう課題を持っていて、ここにこんな課題を打てば刺さるはず」というのがわかるんですよ。このように様々な情報を洞察して、見極めていくというスタイルですね。たまに自分の仕事って探偵みたいだなと思うときもあります(笑)。これをしっかりとやることで、その方に対する解像度が高くなり、思考に寄り添えるようになります。

「HAKOBUNE」を設立された経緯を教えてください。

もともと私はスタートアップ支援の会社を創業しており、その中で様々な事業をつくるといったことをやっていました。最初は小さなスタートアップだったのですが、だんだん売上も立つようになってきて、会社としてはアーリーミドル期に入っていきました。そうなると対象とする企業もだんだん規模の大きなところになっていくんですよね。一方で私が興味・関心を抱く企業は、やっぱりシード期の企業です。もちろん私の得意分野でもあります。こうなると自分自身が会社にとって将来的にあまり良い存在ではなくなっていくという感覚がありましたし、やはり0から1へと成長しようとする企業さんの支援がやりたいという想いもありました。こうした想いを共同創業者に相談させてもらうと「兄弟会社のようなポジションで、独立系ファンドをつくるのが良いのではないか」という結論になり、設立したのが「HAKOBUNE」になります。

2023年現在、起業家が増加しているという話をよく耳にしますが、栗島さんはどのように感じられていますか?

本当に優秀な方も含めて起業する事例がすごく増えてるなと感じています。これはやはり「オープンイノベーション」のおかげですね。「オープンイノベーション」という概念が広く知られるようになってから5年ほど経ったと思うのですが、5年かけて起業家がだんだん増え、それが顕在化してきたのが現在なのだと感じています。また、副業解禁などの動きもあり、多くの人が会社外で新規事業などを行い、様々な事業家が交流する機会や接点が増えたことで、数年かけて世の中が変質してきたのだと推測しています。

起業家マインドは、どういったところから形成されていくのだと思いますか?

これはずばり環境です。例えば、Aさんに5人友人がいたとして、その友人皆が起業家だったらAさんも起業家になる可能性が非常に高いです。本来だったら遠かったはずの「起業」も、友人(身近な人)がやっていればめちゃくちゃ身近に感じることができます。反対に友人が皆サラリーマンだったら、Aさんもサラリーマンになる可能性が高いです。ですので、周りに起業家がいる環境に飛び込めば、自然と起業家マインドは形成されていきます。そして環境というものは意識的にコントロールすることができますので、もし起業家になりたい人がいれば、起業家が集まる場に入ることから始めれば良いと思います。

栗島さんが目指す未来について教えてください。

今まで世の中になかった常識をつくるようなスタートアップ企業をもっと支援していきたいと思っています。最近は、時代の進化の流れがすごく早くなっていますが、未来につながるような文化やライフスタイルを創出したいスタートアップ企業がありましたら、ぜひ一緒に何か考えたいですね。

ワクスタの会員の方と、どのような協業ができそうですか?

私の専門は、スタートアップ領域全般とエコシステムビルディングとなります。前職では「街づくり」といった文脈で活動することが多くて、街を盛り上げていく中で、どのようにすればスタートアップ(新規事業含む)や起業家を増やしていけるかといった仕組みづくりをやっていました。ですので「スタートアップ×まちづくり」に興味のある企業の方のお力にはなれると思います。また、街づくりだけではなく「起業家になりたい」「社内起業したい」方のお力にもなれます。社内で新規事業案を通すノウハウや新規事業の検証の仕方なども含めてお話できますので、お気軽にご相談ください。

プロフィール

栗島 祐介

スタートアップ領域全般、スタートアップ投資、エコシステムビルディング、CVC支援 / 新規事業開発支援

HAKOBUNE Founding Partner

TE 栗島 祐介さんの一問一答コーナー

好きな食べ物・苦手な食べ物を教えてください。
好きな食べ物は肉類全般ですね。例えば焼き鳥とか。苦手な食べ物はチーズです。徐々に克服してきまして、ピザなどだったら全然食べられるようになったのですが、チーズ単品だと食べられないですね。あとお酒はふだんあまり飲まないのですが、飲む場合は日本酒が好きです。
最近、嬉しかったことを教えてください。
コロナ禍になってからペットを飼いはじめました。2歳の女の子の黒い柴犬でコロという名前です。朝も早起きして散歩するのが習慣になったり、コロのために車を運転するようになったり、旅行に行く際もコロと泊まれるところを選ぶなど「ワンコ中心主義」みたいなライフスタイルを送っています(笑)。そんなコロと一緒に過ごす毎日が楽しいですね。
特技を教えてください。
メタ認知です。私はもともと大学に入るぐらいの時期まで、恐らく「赤面症」や「パニック症」といった症状がいくつかあったんですね。だから人前で喋ることも絶対に無理でしたし、電車に乗っていても人の視線が気になってその場にいるのがつらくなってしまう状態。この症状を治すためにメタ認知、つまり自分を徹底的に客観視する取り組みをしました。こういった症状って精神科などで精神からアプローチするのが一般的だと思うのですが、私は肉体からアプローチしていくことにしました。例えば、人間は「楽しいから笑う」というのとは別に「笑顔をつくって広角が上がると脳が楽しいと思いこむ」という性質があります。また、緊張している時に、肉体に高負荷をかけるとホルモン物質が分泌されて緊張をほぐそうとするという働きがあります。こういった肉体が精神や脳に与える作用を学んで、自分自身の歩き方から、話し方、呼吸の仕方などを徹底的に観察して、それを細かく修正していきました。1つひとつこういった取り組みを実践していき、1〜2年ほど続けると悩まされた症状はすっかりと治りました。肉体を直せば精神・脳も影響を受けて変化するのです。この時の取り組みがずっとクセになっており、今でも無意識的にメタ認知をするのが当たり前になっています。このメタ認知の能力は私の仕事においても、ものすごく役立っています。

栗島 祐介さんから
会員の皆さんへのメッセージ

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