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テーマエキスパート インタビュー

今月のテーマ「ダイバーシティ」

今回お話を伺う成澤さんは、地方の企業を中心に新規事業の開発や組織の働き方改革の支援などを行う、経営コンサルティングの専門家。ご自身が視覚障がいの当事者であることからも、ダイバーシティを通じた事業を得意としています。見えないことによって見える世界は、一体どのような景色なのでしょうか。

成澤さんの仕事について教えてください。

移住×転職支援サービスの「株式会社YOUTURN」の取締役と、地方の会社を中心とした経営コンサルティングをやっています。「経営者は孤独」という言葉がありますが、やはり経営者は他の社員とは視点が違うので、お互いの想いや認識にズレが生まれることがあるんですね。だから私は経営者の考えに言葉をつけてあげるというようなことをやっています。私は目が見えないので、これまでに本も5〜6冊しか読んだことがないですし、パソコンもスマホも持っていない、人と共有できるものって言葉だけなんですよ。だから人と言葉を紡ぎたい、言葉を共有したいという欲が強いんだと思います。一方で経営者の方は言葉が足りないことが多いので、そこを私がお手伝いしています。特に私って普通の人と比べてハッキリ物事を言いやすいんですよ。顔色を窺うことが物理的にできないので、見えることによる囚われがないんです。だから偉い人達の会議などに呼ばれても全然平気です。もし目が見えていたらメチャクチャ緊張すると思いますけどね。あと意外に思われることが多いんですが、かなり移動が多いですね。地方のクライアントが多いため、一昨年などは年間で100回くらい出張に行きました。ブラインドの人って、移動が少ないイメージを持たれているので、CAさんなどには「私より飛行機に乗っていますね」と驚かれたことがあります。

仕事をする上で、大事にしていることなどありますか?  

私は仕事をする上で、3つのルールを定めています。1つ目は「初体験の仕事しか受けない」です。例えば、飲食事業の仕事を既に請け負っていたら、同じような内容の仕事は受けません。しかし、同じ飲食事業だとしても内容が違うものであったり、私が初体験要素を見いだせるものであれば引き受けます。この理由は、自分が経験に囚われたくないから。初体験というバランスが自分にとってちょうどいいんです。2つ目は「結果にコミットしない」こと。結果にコミットをすると打率が良くならないんですよ。結果を出そうとすると、人間どうしても足がすくんじゃうんですよね。だから自由に発言ができなくなってしまう。私は50社以上のクライアントがいますけど「○年後に営業利益を00%上げる」みたいな約束は全くしていません。「結果にコミットしない」ことによって「とりあえずやってみよう」という選択肢が取れるというメリットもあります。3つ目が「継続性を担保しない」。例えば「1年間ダイエットやってみたいけど、半年で止めちゃうとみんなに笑われるし、私できなかったと自己嫌悪してしまうのが怖いからダイエットすること自体止めよう」ってなっちゃうんですよ。だから継続性という縛りがない方が「とりあえずやってみる」ができて良いんですよね。「初体験の仕事しかしない」「結果にコミットしない」「継続性を担保しない」こんな3つのルールを設けて「どうやったらこれで仕事が来るんですか」と聞かれることも多いんですが、実際にこれでも仕事が来るんですよね。あと社長が出てこない会社とは取引しないようにもしていますね。

勉強や情報収集などのインプットはどうしているのですか?

まず1つは「良いアウトプット」が私にはあるんですよ。アウトプットがあるからインプットができるんです。勉強しようといって勉強できる人ってなかなかいないじゃないですか。私には毎月50社以上のクライアントが追いかけてくるんですよ。先方は「今月はどんな話をしてくれるのかな」と楽しみにしているので、必死でインプットしなきゃいけないんです。だから良いアウトプットの機会を持っているというのが私の強みです。だから皆さんも良いインプットをしたかったら、先に良いアウトプットの場を創るほうがいいと思います。例えば月に一回会社の朝礼で喋るとか、友人と月に1回朝活するとかでも良いですし。次は「知ったことをすぐに喋る」です。ちょっと知っただけの情報でもアウトプットすると、フィードバックが来るので、そこで喋った知識をさらに深めるということをしています。最後は「人の力を借りてインプット」ですね。秘書が私に毎月100個のメディアの記事を送ってくるのですが、記事を選んでコピペしてくれているという人の手が入っていることによって読まなきゃなという気になるんです。これが自動的に出てくるニュース記事や配信記事だったら、なかなか読む気にならない。たまにダイエットの記事とかがセレクトされていたりするんですが「これは秘書からの痩せろというメッセージかな」などと思うことはありますね(笑)。

ワクスタの会員さんと、どんな形で協働できるでしょうか?

一言で言えば「僕の初体験を唆してほしい」ですね(笑)。私みたいな人材は特に大企業なんかにはうってつけだと思うんですよ。「忖度が目ではわからない」「大量の情報を持っている」「その情報が全て、経験した事実」そして、事業をつくったり組織をつくったりすることができる。実際に現在も日本の誰もが知る大企業の支援をいくつかしています。だからプロ野球の「助っ人外国人選手」のような枠で声をかけてもらえればと思います。

プロフィール

成澤 俊輔

障がい者雇用やダイバーシティを通じた経営コンサルティング

世界一明るい視覚障がい者

TE 成澤 俊輔さんの一問一答コーナー

好きな食べ物と嫌いな食べ物を教えてください。
好きな食べ物はカレーライス、ポテトサラダ、コーンスープです。最後の晩餐もこれで良いですね。この3つのメニューってどこでも出会いやすいんですよね。だからすぐに幸せな気分になれます。苦手な食べ物は、こんにゃくと高野豆腐ですね。四角くて食感の硬いものが苦手なんですよ。ただ、この2つって料理の中に入っていることが多いので、目が見えないと割けられないんですよね。
口癖を教えてください。
口癖というか行動の癖なんですが「よく手を叩く」「よく笑う」ですね。私は基本的にネガティブなことは聞きたくないし口にしたくないタイプなんですが、それでも敢えて使っている言葉だと「成長痛」と「ターニングポイント」。「成長痛」はその先に良い未来が来そうですし「ターニングポイント」はドラスティックに世の中が進みそうな印象があるので。あと「面白くなってきた」「楽しくなってきた」という言葉はよく使っていますね。
好きなカルチャーを教えてください。
ミュージカルとか舞台に行くのは好きですね。あと映画は毎月のように行っています。映画は趣味として好きなんですが、この時代の組織開発のソリューションとしても面白いなと思っています。会社のメンバーと一緒に映画に行って、その後に話をするのって、意見の違いを知ったり、目線を合わせたりする意味でも良いと思うんですよね。
微妙な弱点を教えてください。
見えない人同士のコミュニケーションってタッチングが多いんですが、私は顔を触られるのが嫌いですね。講演会などでフェイスシールドを付けるのも感覚的に嫌でした。おそらく私は顔から情報を得ている部分があるのかもしれません。あとはブラインドのあるあるで、温泉とかサウナは杖が使えないので困りますね。

成澤 俊輔さんから
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